躍進を遂げている岡山大学陸上部です。10月は出雲、11月は全日本大学駅伝にと全国区の駅伝に初出場したばかりですが、早くも来年の出雲駅伝の予選会となる中国四国学生駅伝が24日開催されました。出雲への切符は1枚のみ。再び全国の舞台へー彼らの挑戦を追いかけました。

中国四国学生駅伝「優勝じゃないと意味がない」

戦いの舞台・山口市。大会前日、コースの下見をする岡山大学陸上部の姿がありました。去年のこの大会は、準優勝で出雲駅伝の出場権を獲得しましたが今年は、優勝の1校しか出雲への切符を手にすることができません。

(岡山大学工学部3年 赤澤京弥選手)
「今回ばかりは優勝じゃないと意味がない」

(岡山大学工学部2年 木戸颯選手)
「やっぱりライバルは強いんですけど持てる限りの力を尽くして走りたい」

絶対に負けられないレース…ところが…

(岡山大学教育学部3年 福永伸之介 駅伝主将)
「石鍋さんがけがで走れない」

岡大陸上部を強化し創部以来初めての全国駅伝に導いた立役者が歯学部4年の石鍋颯一選手です。そんなチームの大黒柱がふくらはぎのけがで出場できない

(岡山大学歯学部4年 石鍋颯一選手)
「悔しいですね…ずっとここを目標にやってきて、あと少しで達成できるかもしれないってなったときにこういう状況になってしまったのが申し訳ない」「僕が走らなくても大丈夫と思えるチームになっている」「全国の景色をもう1回見るべきだなと」

(福永伸之介選手)
「このチームの強い所は層の厚さ」「前にいる区間の人を信じてその人にしっかりタスキを届ける」「そしてゴールまでしっかり駆け抜ける」

福永駅伝主将「強くなった岡大陸上部を率いるプレッシャー」

大会2日前。同じ山口県内の実家に福永伸之介選手の姿がありました。駅伝主将を務めて1年。悩んで突然自宅に帰ってきたことがあったといいます。

(岡山大学教育学部3年 福永伸之介 駅伝主将)
「ずっと足が痛くてキャプテンなのに走れてないというのが嫌で一か月我慢したけど治らなくて…」

(福永選手の母 麻美さん)
「夜中に電話してきたから何かあるんやないと思って」

電話した翌朝、ふるさとに帰ってきた福永選手。病院で検査したものの足に異常は見つかりませんでした。

(母 麻美さん)
「心の休養にちらっと帰ってきたんじゃないかな」

(福永伸之介選手)「その日の夕方には普通に練習できていたので」

(母・麻美さん)「仮病やね」

(福永伸之介選手)「やっぱり一回帰るの大事やったんかな」

ずっと心にあったのは強くなった岡大陸上部を率いるプレッシャー。それでも、ミーティングやクラウドファンディングなど自分にできることをやり続けました。主将のタスキは駅伝を終えた日に後輩に渡します。

(福永伸之介選手)「俺のキャプテンのラストデイ」

(木戸颯選手)「俺はキャプテンファーストデイ」「まだまだ」「駅伝終わってやから」「キャプテンの最後をマジでガチで出し切る」

出雲への切符は1枚のみ、結果は…

6区間・53.5キロを競う中四国の15大学21チーム。優勝校のみが出雲への切符を手にします。1区の岩崎選手は、直前のけがの影響があったものの粘りの走り。4位で木戸選手に繋ぎます。

(岡山大学医学部5年 岩崎亮太選手)
「皆さんの応援のおかげで最後までなんとか走り切ることができました」「後は後続の仲間を信じて…」

木戸選手は、区間2位の好走。チームの順位も2位で3区の赤澤選手へ。Bチームを走る福永選手は主将としてラストラン。最後まで絞り出します。

(岡山大学教育学部3年 福永伸之介選手)
「楽しいです駅伝が特に楽しいです」「ひとりじゃないから…」

岡大のエースのひとり、赤澤選手も区間2位。そして、強者ひしめく4区は、石鍋選手の代わりに入った日名子選手が粘り、米倉選手へ。全体順位も3位に留まります。そして6区を任されたのは大学院2年の旭選手です。岡大陸上部が、アルバイトや学業との両立…さらにはコロナ禍で伸び悩んでいた時代を知っています。

(岡山大学大学院2年 旭隼佑選手)
「なんのために練習しているんだろう」「これは何のためにやっているんだろうと思って」

それでも、決してあきらめず主力として活躍を続けてきました。この春に卒業するためこの大会が陸上人生ラストランです。

(旭隼佑選手)
「後輩に最大の贈り物を残して引退したい」「自分の最高の走りをして一緒に走ってくれてありがとうの気持ちを最後ゴールで伝えたい」

最終走者へのタスキ渡し。先頭はIPU・環太平洋大学。そして、旭選手は3位で駆けだしていきました。出雲への切符をとるため、詰めなければいけないタイムは28秒…「2位と5秒差!」「よくやったよくやった」

全員が、力を出し切りました。フィニッシュ地点に最初に戻ってきたのは…環太平洋大学。脱水症状で途中棄権した去年の雪辱を果たしました。岡大は旭選手が区間賞の走りで2位に押しあげましたが悲願の優勝には届きませんでした。優勝校との差が12分以上あった4年前。去年は1分30秒でした。今年は、たったの24秒。それでも…「悔しいな悔しいな」「絶対リベンジしよう」「できるまだできる」

(岡山大学経済学部2年 米倉弦之介選手)
「どんな場面でも安心して任せられるような選手になりたい」

日名子選手「きょうみんなが悔しいと思えたことがまたあすに来年に繋がっていく」

(岡山大学歯学部4年 石鍋颯一選手)
「悔しいって思えたのが成長かなと思うんで」「去年は2位ですごくうれしかったんですけど、今年は2位で全然うれしくなかった」「Q次は勝つ?勝ちたいですね」

(岡山大学大学院2年 旭隼佑選手)
「苦しいときに辞めようかなと思ってたんですけど」「諦めずに最後までここまで続けてきて本当に良かった」「このチームでタスキを繋げたことをこれからも誇りに思います」

全力で走り続けられること。仲間と共に夢を追いかけられること…感謝を胸にまた、新たな挑戦の日々が始まります。

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