江戸時代から受け継がれる倉吉の郷土玩具、はこた人形。
年末には正月用の縁起物づくりで忙しくなる工房で、来年の干支、巳年に合わせた「くびふり張子」が復活しました。

ゆらゆらと揺れるのはペロッと舌を出したヘビ、とぐろを巻いた体から頭を出したなんとも愛らしい姿が復活した「くびふり張子 巳(み)」です。
倉吉張子・はこた人形は白壁土蔵群に続く街並みに工房を構えます。

江戸時代から受け継がれる真っ赤なおべべの人形は、親しみを込めて「はーこさん」とも呼ばれ、子どもたちが病気やけがをせず健やかに育って欲しいと願うお守りでもあります。

工房では、干支に合わせた縁起物の張子も手掛けていますが、来年は巳年、そこではたと困りました。巳年のくびふり張子は亡くなった先代の三好明さんが作ったのが最後、ここ十数年作ったことがありません。
ただ工房には三好さんが作った張子が奇跡的に残されていました。

はこた人形工房 牧田能裕さん
「これが残っていたものになります。(1個だけ?)1個だけです。」

舌などは失われていましたが紛れもない先代のくびふり張子。

これをヒントにして作ってみよう、工房と応援する倉吉はこた人形保存会でそんな話が出て試作品を作ると、なんとも愛らしい姿が蘇りました。

はこた人形工房 牧田能裕さん
「で作ってみらたらやっぱり、いいものだねという評価を頂いて。」

本格的に復活させて販売することが決まりました。張子作りは型に和紙を貼るところから始まります。
型は、北栄町の人に頼んで新たに作ってもらいました。
乾いたら型を抜いて貝殻から作った胡粉を塗り重ねます。紙でできた張子はこれで人形の下地となるきれいな白色となり、ここに顔や模様を絵付けしていきます。
あとは組み立てとなりますが…。

はこた人形工房 牧田能裕さん
「首を振るためのバランスを取るというのが一番難しくて、そこに苦労しておりますね。」

首は、胴体の内側で見えないように吊り下げられていて粘土の重りとのバランスでゆらゆらと揺れる仕組みです。

今の工房は牧田さんたち2人で制作を続けていますが、くびふり張子を復活させてみると先代の三好さんの腕の確かさを改めて知ることにもなりました。

はこた人形工房 牧田能裕さん
「それに一歩でも近づけられるように今一生懸命頑張っているんですけど、なかなかそこの域には達することができなくて、これからさらに努力を重ねて、色んないいものをつくっていきたいなと思っているところです。」

復活したくびふり張子巳は50個限定で作られる予定で、年末まで販売されます。

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