「陸奥湾」を震源とする震度4の地震が1週間で2度も発生した青森県。陸奥湾の揺れが伴う地震で「マグニチュード5以上」となるのは実に90年ぶりです。

今回のこの地震を受けて、改めて「防災」について考えてもらえればと思い、青森テレビが2024年3月12日に公開した記事を再度公開いたします。

シリーズ「来るべき災害に青森県の備えは」(全3回)。
本記事はその【#3】の再公開です。

以下、記事全文。

※【#1】・【#2】はリンクからご覧いただけます。

「来るべき災害に青森県の備えは」【#3】

来るべき災害に、青森県の備えはどうすればよいのでしょうか?青森テレビでは、青森県の宮下宗一郎知事をゲストに迎え、一緒に災害への備えを考えました。

その内容をシリーズでお届け致します。テーマは「来るべき災害に青森県の備えは」。最終回の#3では能登半島地震の教訓を踏まえた「半島での災害対応」について考えます。

能登半島地震でわかった課題

河村庸市キャスター
「ここからは、能登半島地震の教訓を踏まえた半島での災害対応についてお話を伺っていきます。まず能登半島地震でわかった課題を整理していきます。市川さんお願いします」

市川麻耶キャスター
「元日の能登半島地震では、道路網の脆弱性が大きな課題となりました。能登半島地震では、道路の亀裂や土砂崩れなどで幹線道路が寸断されました。このため、多くの集落が孤立しただけではなく、救助や物資の輸送の妨げとなり、道路網の脆弱性が浮き彫りになりました」

河村庸市キャスター
「青森県には下北半島と津軽半島の2つの半島があります。このうち下北半島ですが、幹線道路は国道279号と338号の2本です。さらに、大間原発。使用済み核燃料の中間貯蔵施設。東通原発。六ケ所再処理工場と4つの原子力関連施設も立地していまして、避難道路でもあります。こうした原子力関連施設がある半島ということに、地元の人たちも万が一の事態への危機感を抱いています」

むつ市民へのインタビュー取材
「車があっても道路が遮断されたら、原発でなにかあったら逃げ場がない」

「最悪の場合は、船で放射線が少ないところに逃げるしかない。(必要な対策は)民間の船なら、そのときのために契約しておくとか…」

河村庸市キャスター
「原子力災害が起きたときにどう避難するのかというのが課題かと思うんですけれども。道路だけではなくて、市民の言っていた海上輸送など様々な対応を検討されています。どこを拠点にどのように対応するのでしょう」

青森県・宮下宗一郎知事
「陸・海・空全ての交通モードを使って避難するということになるんだと思います。そのときには必ずしも、(災害が)起こったから、すぐみんなが逃げる必要があるというのが原子力災害ではありません。これは屋内退避も含めて、順次避難していくということが大切でありますので、重大事故みたいなことが、もし万が一起こったとしたら、そのオペレーションは国と県とそれから市が連携してですね、しっかりと逃げ道を確保してやっていくということで様々なシミュレーションを行っています」

河村庸市キャスター
「実際に訓練も2023年も行われていましたよね」

青森県・宮下宗一郎知事
「そうですね。訓練は毎年やらせていただいてます」

半島の『道路網の整備』の重要性

河村庸市キャスター
「半島の道路網の整備の重要性というのは、これまでも明らかになっていまして
2012年には横浜町の国道279号で、暴風雪による車の立ち往生が発生しました。
迂回路がないために車400台以上が、当時19時間にわたって取り残されたということがありました。道路網の重要性。整備の重要性を改めて感じますね」

青森県・宮下宗一郎知事
「半島の脆弱性っていうのは、まさにそのインフラの脆弱性そのもので、道路が寸断をされれば応援にも行けないですし、応援にも来てもらえないですし。そもそも物資が届かないということはあるんですね。ですから半島は下北半島も津軽半島も、あるいは夏泊半島も、この道路整備。あるいは、その強靭化というものが非常に重要になっています」

「津軽半島は(人口が)12万人いるんですね。また、下北半島は10万人いるんですね。これだけの人口を抱えている半島ですから、しっかりとした道路整備を初めとする対応が必要です。そして、能登の災害を私達の教訓にするならば、道路整備は当然のことですけど、あとはやっぱり『備蓄』ですね。それからあとは『受援体制』ですね。多くの人たちが応援に行きたいって思いがありながら、行けなかったっていうことを、どうやっていける環境を作るかということと、その受け皿を作っていくかっていうことは、非常に重要になってきますので。そこはですね、もう来年度の事業の中でしっかりと構築していきたいと考えています」

河村庸市キャスター
「避難をする道路を整備するのもそうだし、その道路というのは助けに行く道路でもあるということですね」

青森県・宮下宗一郎知事
「そうですね。もちろん産業用の道路にもなりますし。本当に道路整備そのものの必要性。それから備蓄の必要性。受援体制の必要性っていうのが、今回の能登半島地震の大きな教訓だろうというふうに思います。これは半島もそうですけれども、
青森県全体も同じことが言えると思います」

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