フランスでは今年からペットショップでの犬や猫の店頭販売が禁止されていますが、捨てられるペットの数は減っていないといいます。その理由と動物たちを守る取り組みを取材しました。

フランス北部にあるカフェ。ソファでゆっくりしたり、客からおやつをもらったりする犬たちの姿が。

記者
「すっかりお客さんとくつろぐ犬たちですけれども、実は飼い主に捨てられ、保護された犬たちなんです」

このカフェは飼い主に捨てられ、傷ついた犬たちが改めて人のぬくもりを感じられる場所です。

保護犬カフェ「Le Waf」オーナー ジュスタン・フォンテーヌさん
「(この犬は)4日前にここに来たときはびくびくしていたけど、かなり良くなってきました。犬たちは保護施設や保健所から来るので、最初はとても怯えているんです」

ここでは客が犬の里親になることができ、カフェのオーナーらが客の自宅を訪問し、里親にふさわしいかどうかを見極める審査をします。オープンから7年で140匹の犬が引き取られました。

犬を引き取った客
「この子は最初から私の膝に乗って動かなかったので、縁を感じたんです」

ただ問題なのは、「このカフェを必要とする犬たちが一向に減らない…」という現実です。

フランスでは、2021年にペットショップでの犬や猫の店頭販売を禁止する法律が成立しました。後先を考えない衝動買いを防ぐことが狙いで、施行は今年1月からですが、実際には法案可決直後から店頭販売は次々と姿を消していきました。

ところが、保護された犬や猫の数は横ばい状態です。なぜなのでしょうか。

動物愛護協会(SPA) フォンボンヌ会長
「(動物の)診療費やエサ代が高騰しています。物価高はペットにも直接影響しています」

インフレの影響で、保護された動物を引き取る人も減っているといいます。さらに、別の問題を挙げる人も。

動物愛護団体 マリー・ヴィニョーさん
「フリマサイトを見たら衝撃ですよ、とんでもない数です」

フランスでは、インターネット上で犬や猫の譲り渡しを呼びかけることが出来ます。このポメラニアンは、2900ユーロ=日本円でおよそ49万円で売られていました。

犬や猫は、生後数か月以内に行政への登録が義務付けられていますが、動物愛護団体のヴィニョーさんがあるサイトを見てみると…

動物愛護団体 マリー・ヴィニョーさん
「親猫と子猫3匹。死んだ猫の登録番号で出されています」

行政の登録上は、存在していない犬や猫が出回っているというのです。たとえば、この猫。登録番号は「abc123」とありますが、行政の検索システムで入力してみると、2021年5月28日に死んだ猫の番号でした。

動物愛護団体 マリー・ヴィニョーさん
「登録されていないペットは、法律上は存在していないのも同然で、飼う人は何の責任も取らなくて済みます。悪質なケースでは、闇業者も存在するんです」

ヴィニョーさんは今年に入ってからも5935件の違法な掲載があり、無責任な飼育放棄につながっていると主張。サイトの運営会社が法律で定められたチェックを怠ったとして、刑事と民事の両方で責任追及しています。

ペットの飼育放棄対策として注目を浴びた「フランスの犬や猫の店頭販売禁止」。まだ目に見える結果が出ない中、さらなる対策が求められています。

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