トランプ次期米大統領が2020年大統領選で敗北した結果を覆そうとした事件で、担当するジャック・スミス特別検察官は8日、ワシントンの連邦地裁に対し、裁判手続きを一時停止するよう要請して認められた。
司法省は現職大統領を起訴しないという立場を長年とっており、今後の対応を検討する。米メディアは起訴を取り下げることを検討していると報じている。
スミス氏は地裁に提出した書面で、5日の大統領選の結果、被告であるトランプ氏が25年1月20日に就任することが予想される「前例のない状況」だと指摘。「司法省の方針に沿った適切な今後の対応」を決めるために時間が必要だとして、公判前手続きを停止するよう要請した。12月2日までに方針を報告するとし、地裁判事はこれを認めた。
トランプ氏は20年大統領選の結果を覆そうとした事件で、「国家を欺くための共謀」など四つの罪で起訴された。しかし、大統領在任中の公的な行為は訴追を免れる「免責特権」を主張。連邦最高裁は24年7月、公的行為には免責特権が適用されると判断し、起訴内容に含まれている一部の行為を免責対象だと判断し、他の行為は公的行為かどうかを判断するよう地裁に差し戻していた。
トランプ氏は司法省の捜査や起訴を「政治的動機に基づくものだ」と繰り返し批判し、自身が政権に返り咲けばスミス氏を「即刻解任する」との考えを示している。【ワシントン西田進一郎】
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