「バルダイ会議」で質問に耳をかたむけるロシアのプーチン大統領=露南部ソチで2024年11月7日、AP

 ロシアのプーチン大統領は7日、米大統領選で勝利した共和党のトランプ前大統領への祝意を述べ、「(協議の)用意はできている」と米露関係の改善に前向きな姿勢を示した。露南部ソチで開かれた外交専門家らの会合「バルダイ会議」で話した。ロシアが2022年に開始したウクライナでの「特別軍事作戦」を受けて、米露関係は冷戦後最悪とも言われている。

 プーチン氏は「(トランプ氏が)対露関係を回復し、ウクライナ危機を終結させたいと語ったことは注目に値する」と強調し、自国に有利な条件での早期停戦に向け、一定の期待感をにじませた。「私は以前、米国民から信頼されている国家元首ならば誰とでも協力すると述べた。その通りになるだろう」とも語った。

 自らトランプ氏に電話することも「恥だとは考えていない」と述べ、露側から働きかける可能性も示唆した。ただ、「これからどうなるかは分からない」と指摘し、米国の動向を注視する考えも示した。

 トランプ氏は16年の初当選時も米露関係の改善に意欲を示した経緯がある。ただ、14年からのウクライナ危機などを巡って米国内では対露強硬論が根強く、「1期目」の政権では本質的な関係改善に至らなかった。プーチン氏は当時のトランプ氏を振り返り、「全方位から追い回され、右にも左にも一歩を踏み出せず、余計なことを言うのを恐れていた印象がある」と言及した。

 一方、現在のロシアと欧米の関係については「西側諸国が、最大の核兵器保有国であるロシアを戦略的に打ち負かそうと呼びかけていることは度を越した冒険主義を示している」と述べ、世界的な悲劇になる可能性があると威嚇した。【モスクワ山衛守剛】

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