ドイツのショルツ首相は6日、連立与党の自由民主党(FDP)に所属するリントナー財務相の解任をシュタインマイヤー大統領に要請した。予算編成を巡る対立で折り合わず、ショルツ氏の社会民主党(SPD)とFDP、緑の党の3党からなる連立政権はFDPの離脱で崩壊する。
ショルツ氏は来年1月に議会に信任決議案を提出する方針を示し、来年秋に予定されていた総選挙は3月に前倒しされる見込みとなった。
来年度の予算編成を巡る対立が引き金となった。投資の促進やウクライナ支援強化を主張するSPDと環境政策を推進する緑の党は財政出動を求め、財政規律を重視するFDPとの間で対立が深まっていた。
決定的となったのは今月、リントナー氏が18ページにわたる経済再建の提言書を提出したことだ。年金の減額や気候変動対策を後退させる内容が盛り込まれ、SPDや緑の党には了承しかねる内容だった。
3党の首脳による協議の末、ショルツ氏は6日、「あまりにも何度も信頼を裏切った」と述べ、リントナー氏の解任を発表した。FDPの閣僚は全員辞任を表明し、独DPA通信によると、それをもってFDPは連立政権から離脱することになった。
連立政権の国内支持率は低下しており、公共放送ARDの10月末の世論調査では、これまでで最低の14%まで落ち込んだ。
ドイツでは首相には議会を解散する権限がない。首相が議会に対し「信任決議案」を提出し、過半数の信任を得られない場合に大統領が解散できる。
ショルツ氏は来年1月15日に決議案を提出することを表明。過半数の信任を得られる見込みは少なく、3月にも総選挙が行われる見通しとなった。【ベルリン五十嵐朋子】
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