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アメリカの大統領選挙は共和党のトランプ氏が、選挙人の過半数、276人を獲得して、事実上の勝利宣言を行いました。

■大統領選 トランプ氏勝利

日本時間6日午後3時半前、現地の東部時間、午前1時半前のでした。

この記事の写真 CNN                                         「ペンシルベニア州、トランプ氏に当確です。大きな大きな勝利です。大統領復帰に向け、一気に選挙人19人を総取りです」

そして、日本時間6日午後3時過ぎ、FOXニュースがトランプ氏の当確を打ちました。

トランプ氏は、フロリダ州の集会場で事実上の勝利宣言をしました。

共和党 トランプ氏                               「ありがとう。皆さんにお礼を言いたい。すごいムーブメントだった。こんなのは誰も見たことがないだろう。史上最高の政治ムーブメントで、アメリカどころか、世界でも前例がない。私たちのこの活動は、さらに重要になってくるだろう。今後は、国の傷を癒すことになるからだ。この国には救いの手が必要だ。我々は、これまでで最も驚異的な政治の…この結果を見てくれ、すごくないか。今まで、この国でこれほどの政治的勝利があっただろうか。47代大統領選出という栄誉を授けてくれた国民にお礼が言いたい。これから毎日闘い続ける。子どもたちや皆さんのために、強く、安全で、豊かなアメリカを実現するまで休むことはない。この先、アメリカの黄金時代を迎えることになるだろう。国民のために見事な勝利を収めたことで、アメリカを再び偉大にすることができる。それと、ファーストレディーで妻のメラニアにも感謝したい。ちなみに妻の本は、全米ナンバーワンの売り上げだ」

50の州と首都ワシントンに割り振られた538人の選挙人を取り合う大統領選。東から投票所が次々に閉まっていき、開票、集計作業は、すぐに始められていきます。8200万以上の期日前投票があるとされていて、開票速報がどうなるのか未知数でした。

投票締め切り後、日本時間6日午前9時過ぎに、2つの州での最初の結果が伝えられました。 

CNN                                    「CNNの予測では、ケンタッキー州はトランプ氏が勝利で選挙人8人を獲得。またバーモント州ではハリス氏が勝利で選挙人3人を獲得する模様です」

その後も開票速報は、順調に進んでいきます。

CNN                                      「予想通りトランプ氏がフロリダ州で勝利し、選挙人30人を獲得。選挙人11人のテネシー州、10人のミズーリ州でも勝利する模様です。ハリス氏もマサチューセッツ州で勝利して、選挙人11人を獲得。メリーランド州で選挙人10人、ワシントンDCでも3人獲得の見込みです」

しかし、日本時間6日午後1時半過ぎ、情勢が一気に動き出しました。

CNN                                         「重大な勝利予測です。CNNの予測では、トランプ氏がノースカロライナ州で勝利する見込みです。7つの激戦州で初の勝利予測として、トランプ氏が勝利する模様です。これで選挙人数は227人」

激戦州の1つ、ノースカロライナ州。ハリケーンの被害などで、投票行動がどうなるか予測ができませんでしたが、有権者が出した判断は現政権への『NO』でした。

その後も次々と入ってくる情報は「激戦州はトランプ氏が有利」というものばかりでした。

2016年、民主党と共和党の支持者数がほぼ同じで、無党派層が勝敗を左右する8つの激戦州のほとんどを制したトランプ氏が、大統領に初当選しました。逆に2020年は、バイデン氏が激戦州をとり、政権奪取に成功します。

今回は、オハイオ州がトランプ王国になったため、激戦州は7つとなりました。その7州をトランプ氏が、すべて勝利しそうなのが、現在の情勢です。

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■激戦州で民主党に逆風続き

■激戦州で民主党に逆風続き

ラストベルトの3州は、民主党が“青い壁”として、重点的に選挙活動を行ってきた最終障壁でした。ただ、事前取材の空気感は、トランプ氏が有利だった印象は否めません。

本来、民主党支持でも、おかしくない人たちの意見。例えばアラブ系の人は、こう話します。

アラブ系の人(ミシガン州)                           「(Q.多くのアラブ系アメリカ人は民主党を支持していると。ただ、最近はそれが変化していると。本当でしょうか)振り返ると、トランプが大統領の時には戦争はありませんでした」 アラブ系の人(ミシガン州)                           「私自身はトランプ氏に投票します。100%そうします」

無料の食料提供を受ける低所得者も。

食料配給を受けた人(ペンシルベニア州)                      「あの2人だったら トランプを選びます。(Q.なぜですか)結果を出すから」 車販売店オーナー(オハイオ州)                         「(Q.民主党、特にハリス氏が信じられないのは)民主党を信じないというよりは価値観が違うんです。私は、週60時間以上、働いてきた。税金をたくさん払い、請求書も滞りなく支払い、住宅購入のために貯金もしました。なのに、ハリスは1軒目の住宅購入者に約380万円を支給するという。その財源が自分の払った税金だと思うと、はらわたが煮えくり返ります」

ハリス陣営は、続々と支援者が会場を後にしていました。

ハリス氏の支持者                                「『ここまできた』という手本になってくれたのが、うれしい。あすからトランプ氏が次期大統領で、ハリス氏は大統領にはなれないけれど、私は彼女をずっと忘れません」

大統領選と同時に行われた上院選でも、共和党が過半数を奪還しました。下院でも多数派を維持すれば、ワシントンは“トリプルレッド”となります。

共和党 トランプ氏                                「アメリカは我々に前例のない強力な権限を与えた。我々は上院の過半数を取り返した。『神が私の命を救ったのは、理由あってのこと』そういう声をよく聞く。その理由とは、この国を救い、偉大なアメリカを取り戻すことだ。その務めをともに果たすのだ。容易な任務ではないが、全身全霊で信任に応えるために戦う。過去4年間の分断から 団結に向かうときが来た。挑戦せねばなるまい、きっと団結できるだろう。もう目の当たりにしている。1期目のとき、人々は団結していた。成功が我々を団結させる」

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■米メディアの“勝敗要因”は

■米メディアの“勝敗要因”は

注目された7つの激戦州を改めて見てみると、ノースカロライナ州とジョージア州でトランプ氏が勝利。どちらもハリケーン被害が甚大で、黒人有権者が多いところです。経済の困窮から“ハリス離れ”が進んでいたとされます。そして、最激戦州と言われたペンシルベニア州でもトランプ氏が勝利。ウィスコンシン州でもトランプ氏が勝ち、勝利が確定しました。

(Q.最終的にトランプ氏を押し上げたものは何ですか)

上智大学 前嶋和弘教授                            「結果を見ると差は小さく、大勝ではありません。世論調査でほぼ同点で入ってきて、トランプ氏が上になった。いくつかのポイントで、ハリス氏の弱点をうまくついていったと思います。弱点と言ってはいけないのかもしれませんが、ものすごくシンプルな言葉で言うと“ハリス氏そのもの”です。『女性が大統領になっていいのか』という言葉を使うことで、マッチョ的な、男性的なものが良いと思っている人たちが固まったり。また、ハリス氏は黒人系とアジア系ですが、トランプ氏は『急に黒人になったね』と黒人ジャーナリストの会でわざと言う。ハリス氏は黒人じゃなくてハーフだなと思っている人もいて、ハリス氏に入れるのをためらわせる。ヒスパニックの人たちに対しては『バイデン政権で一緒にやっているはずなのに、何も対策してないじゃないか。お前たちは不法移民と同じ扱いでいいのか』のような言葉を使うことによって、分断されていったと思います。小さな差ですが、積み重ねていくとものすごく大きくなっていったのだと思います」

(Q.前回の選挙で民主党が取った、ジョージア州・ウィスコンシン州・ペンシルベニア州で、今回はトランプ氏が勝利しました。大越さんは現地を取材して、ひっくり返すほどの何かを感じましたか)

大越健介キャスター                               「インタビューをする人する人が『今回はトランプだ』と話す人が多かったのは事実です。ただ、トランプ氏の演説会場に行った時、内容がハリス氏に対する個人批判だったり、民主党に対するあからさまな毒舌で、途中で帰ってしまう人もいました。そのため、最後まで分からないかなと思っていましたが、前嶋教授が言うように、微妙な差が積み重なって今回の選挙結果になったのでしょう。」

(Q.折り目正しい共和党員は、トランプ氏に対して不快な感情を抱いていた人も多かったと思います。今回取材をしてみて、そういう人たちはトランプ氏に入れるのでしょうか)

上智大学 前嶋和弘教授                              「かなりトランプ氏に流れています。トランプ氏の8年間は何だったかというと、保守本流になってしまいました。政権の時には小さな政府・減税でがんばった。キリスト教福音派のことも考えながら、保守の判事をどんどん入れた。49年ぶりに人工妊娠中絶は州が決めることになった。まさに福音派のヒーローです。さらには怒れる白人たちの一部を固めたと。保守本流の小さな政府と福音派を固めたところは大きいので、共和党の本流だと思っていた人たちも『バイデン氏には入れられない』と考えたのでしょうね」

(Q.物価高など経済への不満が現政権に向けられた面もありましたか)

上智大学 前嶋和弘教授                              「そうでしょうね。『バイデンフレーション』という言葉があります。バイデンが作ったインフレと。インフレは、コロナがあってサプライチェーンが潰れて、さらにウクライナ戦争でエネルギー価格が高くなったことが原因ですが、バイデンの時代に悪くなったと。もちろんバイデン政権が色々な形で手厚い支援をしたところがあるので、100%バイデンフレーションじゃないと否定できないのですが、誇張です。『バイデン政権の時にインフレになった。今がつらい。バイデン政権を支えていたハリス氏にも責任はあるだろう』この言葉は、特に共和党支持者には圧倒的に強いです」

(Q.選挙中は戦っても終わればノーサイドでしたが、今回は分断が深いと感じました。いかがですか)

上智大学 前嶋和弘教授                              「トランプ氏はまず移民対策をして不法移民を追い出すと。さらには、2021年1月6日に議会襲撃をして逮捕された人たち全員に恩赦をすると。トランプ氏自身も訴追されていますが、恩赦するかもしれません。トランプ氏やトランプ支持者を追い詰めた人たちを糾弾するというようなことも言っているので、なかなかノーサイドとは言いにくいと思います」

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