アメリカ大統領選でトランプ氏が勝利宣言をしました。トランプ氏の勝利が確定した場合、日本にどんな影響があるのか、詳しくお伝えします。(6日午後5時30分過ぎの放送より)
トランプ氏“勝利宣言” 全輸入品に関税10%~20%か 自動車産業に大打撃も
井上貴博キャスター:
ハリス氏とトランプ氏の主な経済政策・外交政策についてです。
【主な経済政策・外交政策】
▼ハリス副大統領(「中間層の支援」を掲げる)
税金:中間層への減税、法人税の引き上げ
エネルギー:クリーンエネルギーへの投資継続、EV推進
関税:トランプ氏の一律関税を批判
ウクライナ情勢:支援継続
中東情勢:ガザの人道危機に配慮しつつもイスラエル支持
北朝鮮:「暴君や独裁者に寄り添うつもりはない」
▼トランプ前大統領(「アメリカ第一」を掲げる)
税金:個人所得減税など「トランプ減税」の恒久化、法人税の引き下げ
エネルギー:化石燃料の生産拡大、EV推進には慎重
関税:全輸入品に10%~20%、対中国は60%超も
ウクライナ情勢:支援には消極的
中東情勢:より強くイスラエル支持
北朝鮮:「核兵器を持っている人と仲良くするのはいいこと」
※米メディアなどより
日本への影響についてです。
トランプ前大統領が勝利した場合、明海大学の小谷哲男教授によると、全輸入品に関税10%~20%を引き上げ、日本製品の売上が減少することが見えてきやすいそうです。日本企業の収入が減ると、日本経済が悪化するだろうとしています。
エネルギー政策について、EV推進に慎重です。EV需要が縮小する可能性が大きく、自動車産業に大打撃もあり得るそうです。
そもそも、日本はEV事業には出遅れていると言われているので、本当に大打撃になるのかも、わからない状況です。
安全保障について、小谷教授は「ハリス氏は外交政策に消極的なので、日本にとってはトランプ氏の方が安心できるのでは」とみています。
「24時間以内に戦争を止める」のは可能?
ホラン千秋キャスター:
「トランプ大統領」の時代があったと考えると、経験が日本政府にはあるということでしょうか。
明海大学教授 小谷哲男さん:
トランプ政権の考え方は基本的にわかっています。また、1期目に就任していた閣僚や政府の高官が再び戻ってくることもわかっていて、日本政府の関係も出来上がっているので、すぐに困ることはないと思います。
ただ、全ての輸入品に関税20%をかけるなど、トランプ氏の政策は極端なものが多いので、そのあたりへの対応は求められていくと思います。
ホランキャスター:
ハリス氏が大統領になった場合、バイデン大統領の政策を基本的に継続する見通しと言われていますが、トランプ氏がもう一度大統領になって海外の諸問題に立ち向かうと、どんな懸念があるんでしょうか。
明海大学教授 小谷哲男さん:
ウクライナや中東で紛争が起こっていますが、これを止めなければならない状況です。トランプ氏はピースメーカーだと自負していますが、とにかく紛争を止めることが大事でウクライナの領土が奪われた状態であっても、止めるということになりかねないです。
戦争が終わること自体はいいんでしょうけれども、領土を奪われた状態で終わることが果たしていいのかということは、懸念として残ると思います。
ホランキャスター:
「24時間以内に戦争を止める」みたいな発言もありましたが、実際に止めようと思ったらトランプ氏であれば可能なんですか。
明海大学教授 小谷哲男さん:
相当難しいと思います。「24時間以内に止める」と言っても、どういうやり方でやるのかは、具体的に説明がありません。
かなり実現は難しいと思いますが、トランプ氏が勝利宣言をしたということなので、これからの状況を見つつ、周りのアドバイザーの意見も取り入れつつ、政策を考えるということになると思います。
歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
大統領選になったら、日本はテレビなどで特集しますが、世界を見渡しても報道している方だと思います。
アメリカは世界に対して大きな影響を及ぼす国なので、情報を取るのはいいんですが、これで日本が右往左往するだけではなく、日本として世界にどう向き合っていくのか、その確固たるものが問われていると思います。
それを返さないと、常にアメリカの顔色をうかがうわけではないですが、少し恥ずかしい気持ちになる感じはしますね。
円安に振れる株価「かなり長期的に振れ幅の大きい状態が続く」
井上キャスター:
どうしてもアメリカに引っ張られますが、トランプ氏だと不確実性があって、わからないところが多くあります。
株価は上がるかもしれなく、今は円安に振れています。でも、トランプ氏の「アメリカファースト」で考えると、ドル安に持っていきたい。この円安がそのまま続くのかどうかもわからないという状況です。
明海大学教授 小谷哲男さん:
かなり振れ幅はこの先大きいと思います。トランプ氏が勝ちそうだということで株が上がり、さらに円安が進んでいます。
関税をこのまま増やしていくと、実際にアメリカ国内でさらにインフレが進んでいきます。経済が停滞し、企業の売上が下がるということもあるでしょう。
そして金利が上がるはずです。円安はさらに進みますが、アメリカ製品を海外に売るためには、ドル安に持っていかなければなりません。かなり長期的に振れ幅の大きい状態が続くのではないかと思います。
ホランキャスター:
トランプ氏はEV推進に慎重と出ていますが、テスラのイーロン・マスク氏ともかなり関係が密接ということを考えると、テスラはEV事業を行っていて、本当に慎重になるのかどうかもわからないですよね。
明海大学教授 小谷哲男さん:
EVについては、おそらくアメリカの企業の作るものは守り、外国の企業が作るものは規制をするというような形で、アメリカ国内の産業を重視する形になっていくのではないかと思います。
「アメリカファースト」で1ドル160円の可能性
井上キャスター:
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストによると、ハリス氏が勝ったら「ゆるやかな円高」、トランプ氏が勝ったら「急激に円安」で、1ドル160円の可能性もあるということです。
酒井主席エコノミストは、「急激に円安になると、輸入品が高くなり物価高に。家計への影響がさらに大きくなるのではないか」としています。
明海大学教授 小谷哲男さん:
日本政府は、トランプ氏の1期目のときの人脈を駆使して、少しでも日本に対する悪影響が出ないように側近から固めていくことになっていくと思います。
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<プロフィール>
小谷哲男さん
明海大学 教授
アメリカの外交・安全保障政策に詳しい
日本国際問題研究所 主任研究員
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