米連邦議会の上院(建物右側)と下院(同左側)=ワシントンで2024年2月14日、秋山信一撮影

 米連邦議会の上下両院選が大統領選と同じ5日に投開票された。上院は共和党が4年ぶりに多数派を民主党から奪還。下院は接戦が続いており、両党の勝敗が判明するまで時間がかかる見通しだ。赤をシンボルカラーとする共和党は、ホワイトハウスと上下両院の多数派を独占する「トリプルレッド」も視野に入れている。

 上院(定数100)は2年ごとに約3分の1ずつ改選する。現有は民主党(民主系無所属を含む)51議席、共和党49議席。このうち民主23、共和11の計34議席が改選となった。

 CNNによると、共和党は南部ウェストバージニア、中西部オハイオ両州で民主党の議席を奪い、現有議席も守って過半数の51議席に達した。西部モンタナ州で優位に立ち、東部ペンシルベニア、中西部ミシガン、ウィスコンシンの3州でも接戦に持ち込んでおり、議席差がさらに広がる可能性がある。

 上院には政府高官や連邦判事の人事承認権がある。共和党のトランプ前大統領が返り咲いた場合、思い通りに人事を進められる基盤ができた。ただ、上院には大半の法案の可決に60議席を必要とする独特の慣例がある。共和党も60議席には届かない見通しだ。

 民主党は接戦州で現職が軒並み苦戦。議席奪取の期待があった南部テキサス州でも敗北した。

 全435議席が改選となる下院の改選前議席は、共和党220、民主党212、欠員3だった。CNNによると、共和党は187議席、民主党は160議席の獲得を確実にした。

 民主党が勝てば、下院党トップのジェフリーズ院内総務が黒人初の下院議長に就く可能性が高まる。下院議長は、大統領の職務継続が難しくなった場合の継承順位が副大統領に次ぐ地位で、歴史的な勝利となる。

 一方、共和党は「トリプルレッド」を実現し、思うように政策を進める展開を狙っている。【ワシントン秋山信一】

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