米大統領選の投票前日の4日、民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領は最重要視する東部の激戦州ペンシルベニアを中心に「最後の訴え」を展開した。大接戦のまま投票日を迎え、双方の支持者の間には「期待」と「不安」が交錯していた。
「4年間、我々は待ち続けてきた。何百もの集会のおかげで、我々は今の位置にいる。そして、明日だ。あなたがたは投票を誇りに思うだろう」。トランプ氏がペンシルベニア州レディングで開いた選挙集会で、4年ぶりのホワイトハウス復帰に自信を見せると、約3000人の支持者は歓声で応えた。
今回初めて大統領選に投票するという同州の看護師の女性(29)は「民主党は学生ローンの減免を約束しておいて、結局(裁判所の判断で)実行できなかった。残業代を非課税にするトランプ氏の政策に期待している」と語った。
ただ、会場の室内競技場の埋まり具合は5~6割程度。前の方の席に聴衆を誘導することで「盛り上がり」を演出したが、後方はガラガラだった。集客力が支持に直結するわけではなく、同州で何度も集会を開いてきたことも一因だとみられるが、最終日としては物足りなさも残った。
トランプ氏のレディング入りは、周辺に多い米自治領プエルトリコ系の住民にアピールする狙いがあった。10月下旬にニューヨークで開いた集会で、毒舌を売りにするコメディアンがプエルトリコを「ごみの浮き島」と表現。ペンシルベニア州で暮らすプエルトリコ系住民は約50万人に上り、トランプ氏を支持するプエルトリコ系のイリス・クレスポさん(42)も「正直、あの発言には誰もが嫌悪感を抱いた」と話した。
4日の集会ではキューバ系のルビオ連邦上院議員が、応援演説の一部をスペイン語で行い、中南米系にアピールを図った。トランプ氏は今回、過去2回よりも中南米系への支持を広げるのに成功してきただけに、終盤での舌禍の悪影響を抑えられるかが激戦州での命運を握っている面がある。【レディング秋山信一】
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