「隠れトランプ」か、「隠れハリス」か――。米大統領選(5日投開票)の接戦が伝えられる中、世論調査では捕捉しきれない有権者の存在が取り沙汰されている。
過去の大統領選では、共和党のトランプ前大統領への支持を公言しない「隠れトランプ」派の存在が指摘されてきた。今回の選挙では、ひそかに民主党のハリス副大統領を支持する「隠れハリス」派の存在を主張する声も上がっている。
「私の周囲ではハリス氏の支持を公言できない共和党員の女性たちがいる。熱狂的なトランプ支持者の家族の中では、自分だけがハリス氏に投票するとは言えない」。こう語るのは、かつての共和党員で現在はハリス氏を支持する南部ジョージア州アトランタ郊外に住む主婦のクリステン・ダドーロドリゲスさん(42)だ。ハリス氏の陣営は、ダドーロドリゲスさんのような穏健な保守層の取り込みを図ってきた。
共和党内の反トランプ派として知られるリズ・チェイニー元連邦下院議員も、ハリス氏への投票の公言を恐れる共和党員が大勢いると述べ、「良心に従って投票し、誰にもそれを言う必要はない」などと訴えている。
米メディア「ポリティコ」によると、世論調査は、共和党の候補指名争いでトランプ氏に敗れたヘイリー元国連大使を支持し、現在はハリス氏を支持する層を捕捉しきれていない可能性もあるという。
一方、トランプ氏は2016年と20年の大統領選で、事前の世論調査よりも本番では支持率を伸ばした実績がある。その要因として、トランプ氏への支持を公言しづらい社会の風潮や、世論調査に回答しない支持者がいることなどが指摘されてきた。
ただ、その後、世論調査はトランプ氏を「過小評価」しないよう改善の試みがなされてきているほか、以前と比べればトランプ氏への支持を表明しやすくなっているとの見方もある。【ワシントン松井聡】
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