ポーランドで17世紀に「吸血鬼」と疑われた女性の遺骨の研究が進んでいる。死からの復活を防ぐため、女性の首の上には「鎌」が置かれ、起き上がれない状態で埋葬されていた。英紙デーリー・メール(電子版)などが伝えた。
研究を続けているのは、ポーランドのニコラウス・コペルニクス大のダリウス・ポリンスキ教授ら。同国南東部ピエンの墓地で2022年に発見された18歳くらいの女性の遺骨は、首の上に鉄の鎌が置かれ、左足も南京錠のような器具で固定されていた。
ポリンスキ氏は「当時の人々は、彼女が墓から復活することを恐れていた」と分析する。東欧の一部では17~18世紀に吸血鬼の存在が信じられていたという。
この女性が吸血鬼と疑われた理由は不明。心身に何らかの障害があった可能性があるという。女性の顔は3Dスキャン技術などで復元が進んでおり、作業にあたったスウェーデンの考古学者オスカー・ニルソン氏は、「怪物として埋められた彼女を人間として蘇生させたかった」と英メディアに話した。
この墓地では他にも約30基の墓から同様に拘束器具の痕跡が見つかっており、「吸血鬼の野原」と呼ばれているという。【ロンドン篠田航一】
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