今、中国ではスマートフォンで視聴する1分から2分程度のショートドラマが空前の人気となっている。10億人が夢中になり急成長を続けるショートドラマの中身と、その人気の背景に迫る。
■「縦型ショートドラマ」流行の理由
縦型ショートドラマのブーム この記事の写真今、中国で縦型のショートドラマが大人気になっている。
街の人(北京)「生き返りやタイムスリップものなどが好きです。たまに2000円ぐらい課金します」 ショートドラマ事業を行う「和雅」
金光国CEO
「映画はアメリカ、制作レベルが高い。ドラマといえば韓国、アニメーションだったら日本。最近、ショートドラマといえば中国なんですよ」
こう話すのは、中国のショートドラマ事情に詳しい金光国さん。一体どのようなものなのか。
金光国CEO「(1話)1分〜2分の間で、(全)80話前後なんですね。ショートドラマは(原作が)ネット小説からくるものが多くて、職場の復讐(ふくしゅう)とか、恋愛の復讐とかのものが多いんです」 課金システム
ショートドラマの多くは10話ほどまでは無料でみられるが、それ以降をみる場合は課金するシステムだという。
「離婚したら世界一裕福な孫になった」世界中に配信され、およそ15億円を記録した大ヒット作「離婚したら世界一裕福な孫になった」というショートドラマ。航空機事故で奇跡的に一命を取り留めた主人公・リカが入院先の病院で見たのは、3年前に結婚した夫が、別の女性の妊婦検診に付き添っているところだった。
離婚を決意したリカの身に降りかかったのは、夫やその親族たちからの壮絶な嫌がらせだ。
リカは、離婚を拒む夫から首を絞められたり、姑から手を挙げられたりする。そんな苦境にも負けず、力強く生きていく愛憎劇。このようなストーリーが人気のようだ。
金光国CEO「伏線とかを入れてテンポも速くて、気持ちをあおるのが大事。ストーリーをそのままみせるんじゃなくて、感情をあおったりとか、そういうことが大事」 街の人(北京)
「突っ込みどころが多ければ多いほどみたくなる。寸劇をみている感じ」
そして流行の理由は、隙間時間などにスマートフォンで観られる手軽さだという。
街の人(北京)「地下鉄に乗る時、時間潰しにみていたよ」 中国のハリウッド
この縦型ショートドラマの勢いは、「中国のハリウッド」と呼ばれる場所にも変化をもたらしている。
金光国CEO「(スタジオ名は)『横店影視城』。これは地域の名前なんですけど、たまたま“横”の店。テレビとかは全部“横”じゃないですか。最近言われているのは“縦店”。翻訳すれば“タテ”なんですけど、やはりショートドラマの撮影基地になっているんですよ。ビルごと全部ショートドラマを作るために作られている」
映画の聖地で今、多くのショートドラマが制作されている。映画と大きく違い、重要なのが「製作費を抑え効率良く作品を生み出すこと」だという。
金光国CEO「私はコンテンツ業界をよく飲食業界と比べるんですけど、映画は高級レストランですね。ドラマはファミリーレストラン。ショートドラマはファストフード。こっちはもう便利さ・速さ。すぐ満足できるコンテンツを作らないといけない」
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■「コンテンツ大国」日本版ショートドラマの未来■「コンテンツ大国」日本版ショートドラマの未来
急成長するショートドラマ市場ショートドラマ市場を巡る現状と未来を見ていく。
中国メディアによると、中国でショートドラマを視聴するユーザーは10億人を超えているという。その市場規模は、2020年にはおよそ200億円だったものが、昨年にはおよそ7800億円と急増し、2027年には2兆円を突破するとの予想も出ている。
ちなみに昨年の中国における映画興行収入はおよそ1兆1000億円だったため、ショートドラマ市場がすぐに追い付き、追い越す勢いである。
この急成長する市場に対して、中国政府も動いている。
政府機関の国家ラジオテレビ総局はおととし11月、「ショートドラマの管理強化と改善の通知」を発表。その中で、「この市場は急速に発展しているが、同時に悪影響も及ぼしている。そのため、正しい政治的方向性などを遵守(じゅんしゅ)させ、健全で秩序ある豊かな発展を促進するべき」としている。
具体的には「暴力や下品な内容などを含むドラマを是正するなどの指導も行う」としている。
ショートドラマ市場は世界にも広がってきており、「離婚したら世界一裕福な孫になった」は世界177以上の国と地域で、15言語で配信されている。
また、日本版として「大富豪のバツイチ孫娘」というタイトルでリメイクされ、公開されている。このドラマは、暴力や陰謀、そして愛と憎しみが入り乱れるドロドロの展開となる。中国版と比べると、細かいところで日本向けに設定を変えたという。
では、将来的に日本でのショートドラマはどうなるのか。
これまで多くのショートドラマを手掛けてきた「和雅」の金光国CEOは「今は中国物をリメイクしているが、日本は原作を作る能力が高いコンテンツ大国。将来的には日本の漫画やアニメをショートドラマ化して、全世界に配信していけるだろうから伸びていく」と述べている。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年10月30日放送分より)
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