北朝鮮が発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)=2024年10月31日、朝鮮中央通信・朝鮮通信

 北朝鮮の弾道ミサイルとして過去最高高度、最長飛行時間を記録した31日のICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験を現場で視察した金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は、「最近、意図的に地域情勢を激化させ、共和国の安全を脅かしてきた敵に、我々の対応意志を示す適切な軍事活動だ」と強調した上で、「我が国の戦略攻撃兵器の高度化のため必要な過程だった」とも指摘した。朝鮮中央通信が伝えた。

 北朝鮮がICBMを発射するのは、2023年12月に「火星18」を発射して以来。金総書記の発言から、今回の発射は技術的な必要性と同時に、拡大抑止の強化を進める米韓に対抗する意思を示す狙いだったとみられる。

 北朝鮮が派兵するなど協力関係を深めるロシアからICBM関連の技術を入手したかどうかにも関心が集まるが、韓国軍合同参謀本部の李誠俊(イ・ソンジュン)広報室長は31日の記者会見で「ICBMについてはすでに開発がかなり進んでおり、ロシアが情報や技術を提供したかは疑問だ」と述べた。ただ、日本の防衛省は技術支援があった可能性を指摘しており、見方は分かれている。

 ミサイル発射は11月5日投開票の米大統領選直前のタイミングだった。金総書記は「核兵器強化路線は絶対に変えないことを確認する」とも述べており、米大統領選の行方に関わらず「非核化」には応じない意思を改めて明確にしたものとみられる。

 北韓大学院大の梁茂進(ヤン・ムジン)総長は、今回の北朝鮮の発射について、北朝鮮がロシアに派兵した問題から「国際社会と国民の目をそらさせる狙いがある」と指摘。また、年末に予定されている、朝鮮労働党中央委員会拡大総会で報告するための軍事的な成果作りをする狙いもあるとの見方を示した。【ソウル日下部元美】

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