10月28日、コロンビアで開催中の国連生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)は28日、2週目に入り、自然保護に向けた資金確保などの重要な決定を巡って協議が行き詰まった。写真はコロンビアのユンボで21日撮影(2024 ロイター/Luisa Gonzalez)
コロンビアで開催中の国連生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)は28日、2週目に入り、自然保護に向けた資金確保などの重要な決定を巡って協議が行き詰まった。
かつてない速度で自然が減少して生物種が絶滅する中、 科学者らは各国政府に対し、時間を無駄にする余裕はないと警告した。
国際自然保護連合(IUCN)によると、現時点で世界の樹木種の約38%(合計1万6425種)が、農業、鉱業、道路建設といった開発事業のための木材の伐採と皆伐によって絶滅の危機に瀕している。
IUCNのグレーテル・アギラー事務局長は記者会見で「これらの樹木(種)を本当に存続させたれば、われわれは早急に行動を起こす必要がある」と訴えた。
COP16は、2030年までに自然の減少を食い止めて回復させることを目指す2022年開催のCOP15で採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組みに掲げられた23の目標の実現方法を導き出す任務を負っている。
これらの目標で最も重要なのは2030年までに各国が自国の陸地と海域の30%を保全の目的で確保することだ。
国連環境計画(UNEP)によると、28日時点で何らかの形で保護されている世界の陸地と内陸水域は17.6%にとどまり、目標の30%を大きく下回っている。多くの国が、今月が期限である誓約書をまだ提出していない。
アンダーセンUNEP事務局長は各国に対し、30%の保護目標を達成するだけでなく、荒れ地や既に野生動物が少なく人口も少ない地域を優先せずに、価値の高い土地や水路を保護対象にするよう求めた。
11月1日の閉幕まで交渉担当者とオブザーバーは、資金調達、先住民の参加の強化、保全政策などにかかわる多くの問題で進展があることを期待している。
事務局広報担当のデービッド・エインズワース氏は「協議は順調に進んでいるが、重い議題だ」と指摘。協議の激しさは各国が本腰を入れて取り組んでいることを示す一方、各国間の信頼が比較的低いことがうかがえる場合もあると説明した。
これまでのところ代表団は、生物多様性を巡る決定に際して先住民グループを認めて取り込むための方策で合意に近づきつつある。ただ、COP16の成功を測る尺度として、自然保護への資金確保に向けた有力な選択肢が提示されるかどうかが注目されている。
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