11月の米大統領選を前に、元モデルのステーシー・ウィリアムズさん(56)が、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領(78)から「1993年に痴漢被害に遭った」と名乗り出た。米メディアによると、トランプ陣営は「告発内容は虚偽だ」と反論。ウィリアムズさんが民主党のハリス副大統領を支援していることから「ハリス陣営が企てた偽のストーリーなのは明らかだ」と主張した。
ウィリアムズさんの証言によると、ニューヨークで93年、当時交際していた富豪のジェフリー・エプスタイン氏と共にトランプタワーを訪ねた。トランプ氏とは以前にパーティーなどで話したことがあったが、この時は顔を合わせた直後に抱き寄せられ、胸や尻を触られたという。ウィリアムズさんは突然のことに固まっていたが、エプスタイン氏とトランプ氏は顔を見合わせて、笑っていた。
エプスタイン氏は後に多数の少女らに対する性的搾取の罪で起訴され、2019年に勾留中に死亡した。ウィリアムズさんは痴漢被害について「2人の気持ち悪いゲームに使われた」と感じ、長年心の内にしまっていたという。
トランプ氏は16年大統領選の直前にも、卑わいな言葉で既婚女性との性的関係を自慢する音声を暴露されたことがある。不倫関係を訴えるポルノ女優に口止め料を支払ったことも明らかになっている。こうした言動は女性からの支持率が低い一因になっている一方、既に広く知られており、今回のウィリアムズさんの告発が選挙戦に与える影響は限定的だとみられる。
トランプ氏は90年代にニューヨークのデパートで、女性コラムニストに同意なく性的行為をしたと訴えられ、23年に連邦地裁で500万ドル(約7億5800万円)を支払うよう命じられた。24年1月には女性コラムニストに対する名誉毀損(きそん)で8330万ドル(約126億円)の支払いを命じられた。トランプ氏側は性的行為を否定し、上訴している。【ワシントン秋山信一】
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