道路を横断するグリズリー「399」と子グマ=撮影日不明、米グランドティトン国立公園提供・AP
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 米国立公園局は23日、西部ワイオミング州ジャクソン郊外の道路で、28歳のメスのグリズリー(ハイイログマ)が車にはねられて死んだと発表した。クマは研究者が取り付けた個体識別用タグの番号にちなんで「グリズリー・ベア399」と呼ばれ、大自然で知られるイエローストーン国立公園周辺を訪れた観光客や写真家の人気者だった。

 発表によると、399は22日夜に事故死した。耳に付けたタグとマイクロチップから身元が確認された。一緒にいた1歳の子グマの行方は分からなくなっているが、事故に巻き込まれた形跡はないという。衝突した車の運転手は無事だった。

米西部ワイオミング州で、子グマと一緒にシカを食べるグリズリー「399」(上)=2020年11月撮影、ジャクソンホール・ニュース&ガイド提供・AP
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 AP通信によると、399は体長約2・1メートル、体重180キロ。グリズリーには珍しく、ジャクソン郊外の道路の近くを生活拠点としていたため、人の目につきやすかった。子グマがオスのクマに襲われるのを防ぐためだったと推測されている。これまでに少なくとも18頭の子グマを産んだ。

 国立公園局の担当者は「グリズリー・ベアはイエローストーン圏生態系の象徴的な種であり、399は最も著名な『大使』だった。数え切れない訪問者に野生生物保護への責任感を呼び起こした存在で、寂しくなるだろう」と悼んだ。SNS(ネット交流サービス)の「ファンページ」にも、悲しみやショックのコメントが多数寄せられた。

 米国では大型の野生動物が交通事故で死ぬことは珍しくない。国立公園局によると、イエローストーン国立公園周辺では2009~23年に計49頭のグリズリーが交通事故で死んだ。【ワシントン秋山信一】

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