BRICS首脳会議の拡大会合に出席した各国首脳ら=露中部カザンで2024年10月24日、AP

 ロシアや中国、インドなど有力新興国でつくる「BRICS」首脳会議は24日、露中部カザンで非加盟国も含めた拡大会合を開き、閉幕する。採択された総括文書「カザン宣言」では、より多くの国々を取り込む狙いから「対欧米」のトーンを抑え、「非欧米」のもとに結束を目指すものとなった。新たな協力の枠組みとして「パートナー国」の創設も盛り込まれた。

 カザン宣言では、新興・途上国との連携拡大により多国間主義を強化する方針を示し「よりバランスの取れた多極的な世界秩序への道筋となる可能性がある」とうたった。BRICS諸国と新興・途上国との新たな投資プラットフォームの設立なども記された。

 一方で、西側諸国によるロシアへの経済制裁などを踏まえ、「国際法に反する一方的な経済制裁や2次的な制裁措置」は対象国に破壊的な影響を及ぼすとして撤廃を求めるなど、BRICSを主導する中露の意向が一部に反映された。

 中東やウクライナでの紛争にも言及し、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区やレバノンへの攻撃に深刻な懸念を示し、即時停戦を求めた。一方、ウクライナ情勢については「対話と外交を通じた紛争の平和的解決を目指す提案を評価する」と短く触れただけだった。中国とブラジルが5月に提案した独自の和平案を念頭に置いたとみられ、露軍の撤退などに踏み込むことはなかった。

 ロシアのプーチン大統領は24日の拡大会合で「私たちは互恵的で公正な協力という普遍的な原則に基づくべきだと確信している」と強調。国連安全保障理事会の改革を主張し、アジアやアフリカ、南米の代表国の常任理事国入りを支持するとした。

 一方で、公平な世界秩序への移行は「あらゆるものを支配しようとする勢力」によって妨げられていると暗に欧米を批判。人権や民主主義、気候変動対策などの押しつけによる「内政干渉」は「世界の戦略的安定を損なう」と訴え、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国に支持を求めた。【モスクワ山衛守剛】

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