11月5日投開票の米大統領選に向け、民主党のハリス副大統領は23日、CNNテレビが主催した投票先を決めていない有権者との対話集会に臨んだ。
ハリス氏は終始、共和党のトランプ前大統領は「大統領にふさわしくない」と批判。ただ正面から質問に答えなかったり、詳細に語らなかったりする場面も目立ち、CNNのコメンテーターは「決定打にはならなかった」との見方を示した。
選挙の結果を左右する激戦7州のうちの一つで、特に重要とされる東部ペンシルベニア州で開催された。CNNは当初両候補による討論会を呼びかけたが、トランプ氏が拒否し、ハリス氏だけが参加する対話集会になった経緯がある。
ハリス氏は選挙戦がヤマ場を迎える中、トランプ氏について「危険な存在」だと強調し、無党派層や穏健な保守層の取り込みに注力。この日の集会もそんな戦略を反映したものとなった。
トランプ政権の元高官らがトランプ氏を批判していることを引き合いに、「彼を最もよく知る人々を信頼すべきだ」と主張。復権すれば「(政敵らへの)報復を企てる」と指摘し、自身は党派を超えて政策の実現に取り組むとした。
政策面では「バイデン政権の継続ではなく、独自のアイデアと経験を持ち込む」と主張。ただ「なぜ副大統領の4年間にやらなかったのか」との問いには詳細を語らず「(バイデン政権では)多くのことが行われたが、まだすべきことがある」と述べるにとどめた。
また、かつては反対していたが現在は支持している「フラッキング(水圧破砕法)」による天然ガス・石油開発が、環境に悪影響を及ぼしていると思うかとの質問にも明確には答えず、移民を社会に溶け込ませるために必要なコストについての質問にも「国境管理を優先させる」と述べ、かみ合わなかった。
勢いに陰りが見えるハリス氏は、メディアへの露出を増やし支持拡大を図っている。CNNが集会後に話を聞いた聴衆5人のうち2人がハリス氏への投票を決めたとする一方、3人は政策の違いなどから態度を留保。トランプ氏の陣営は声明で「大失敗だ」などと皮肉った。【ワシントン松井聡】
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