11月5日の米大統領選まで2週間を切り、郵便投票や期日前投票が各州で本格化している。新型コロナウイルス禍で郵便投票が急増した2020年の前回より全体の投票ペースは鈍いが、共和党員の出足が好調で、早期の投票を呼びかけるトランプ前大統領(共和党)の戦術の効果がうかがわれる。
郵便投票や期日前投票のルールは州によって異なるが、大半の州で手続きが始まっている。フロリダ大学が運営する「米国選挙プロジェクト」によると、23日正午までに全米で約2346万人が投票を済ませた。党派別の情報を公開している州の集計では、民主党員が約43%、共和党員が約35%、その他は約22%。民主党員の方が多い傾向は前回と同様だ。
しかし、勝敗のカギを握る激戦州では、共和党員の割合が増えている。西部アリゾナ州では共和党員が約42%、民主党員は約36%。前回はいずれも約37%とほぼ同じだったが、今回は共和党員がリードしている。隣接する西部ネバダ州でも共和党員の割合が前回の約36%から約40%に増加。南部ノースカロライナ州でも約32%から約34%とやや伸びている。
最も注目される東部ペンシルベニア州では、民主党員が約61%、共和党員が約29%。民主党員が圧倒的に多い状況は前回と変わっていないが、共和党員の割合は前回の約24%より増えている。
党派別の内訳を公表していない州もあり、投票日までに傾向が変化する可能性はある。しかし、前回は「郵便投票は不正の温床だ」と訴えていたトランプ氏が、今回は「票をどんどん積み上げよう」と早期投票を呼びかけたことで、共和党員の利用者が増えているとみられる。
ただ、トランプ氏は依然として郵便投票の公正性を疑問視する姿勢は変えておらず、落選した場合には「不正」を訴える可能性がある。【ワシントン秋山信一】
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