韓国国防省は10月15日、北朝鮮が同日正午ごろ、南北間を結ぶ道路「京義線」と「東海線」の2路線で、それぞれ約60メートルを爆破したことを明らかにした。当時、韓国の金大中大統領と北朝鮮の金正日総書記の合意で敷設された「京義線」と「東海線」は、南北を繋ぐ代表的な道路として知られている。特に「京義線」はソウルと平壌を結ぶ南北和解の象徴として、かつて物資の運搬などで使われていた。2000年に開催された南北首脳会談で、「京義線」と「東海線」の南北連結で合意し、2003年に完成した。完成後は、南北の共同事業・開城工業団地、金剛山には、人々が行き交ったが、2008年には、関係悪化により、往来が不可能となった。その10年後の2018年、南北首脳会談の板門店宣言で、再連結が合意に至るなど紆余曲折を辿った。

南北連結道路の爆破に先立って、北朝鮮外務省は11日夜、「重大声明」とする発表で、韓国が今月3日と9日、10日深夜に平壌に無人機を侵入させ、反体制ビラを散布したと主張した。北朝鮮が公表したビラには、金正恩総書記を批判する内容や金総書記が高級時計を着用する写真などが掲載されていた。金与正・朝鮮労働党副部長は14日、無人機侵入の事案を受けて、南北の境界線付近に歩兵部隊を展開させる射撃待機態勢を整備したと発表、臨戦態勢に入った。

ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記は今年6月、北朝鮮の首都、ピョンヤンで首脳会談を開き、軍事や経済に関する「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結した。同条約は、両国間で、軍事面での協力関係の強化を念頭に置いたものとみられている。欧州連合の首脳会議に出席していたウクライナのゼレンスキー大統領は17日、ロシアとの協力を進める北朝鮮軍が、約1万人をウクライナに派兵する準備をしていると明らかにした。ゼレンスキー大統領は、北朝鮮によるロシアへの派兵について、「世界戦争に踏み出す一歩」と、欧州首脳に警鐘を鳴らした。

韓国の尹錫悦大統領は18日、北朝鮮によるロシア派兵に伴う緊急安保会議を招集し、北朝鮮軍のウクライナ参戦が及ぼす韓国の安全保障への影響を総合的に点検した。尹大統領は、「ロ朝関係が軍事物資の供給にとどまらず、部隊派遣に及んだ状況は、国際社会に重大な安全保障上の脅威であるとの認識を共有した」と警戒感をあらわにした。ウクライナの英字紙「キーウ・ポスト」は10月4日、ロシアが占領するウクライナ東部ドネツク周辺で、3日にウクライナ軍によるミサイル攻撃があり、北朝鮮の士官6人が死亡したと報じた。また、同紙は、北朝鮮軍の歩兵部隊に所属する兵士約1万人が、ロシア極東地域で訓練していることを伝えた。

★ゲスト:平岩俊司(南山大学教授)、太田昌克(共同通信編集委員)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)

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