ハマス襲撃から半年、いまだ帰らない人質解放を求めるイスラエルのデモ(4月7日、イスラエル議会前) REUTERS/Ronen Zvulun

<イスラエル軍の激しい空爆や砲撃も、自国の人質の命を最優先しているようには見えない>

イスラエルは、昨年10月7日のハマスによるイスラエル侵攻に対する報復としてガザ地区に攻撃を仕掛けているが、今のところ、ハマスに拉致された数多くの人質を解放することに成功していない。圧倒的な物量で攻撃を続けるイスラエル軍の前に、ガザ地区は崩壊寸前だが、多くの人質の所在と状況は不明のままだ。

政府データをもとにした最新の数字ではハマスによる奇襲では、250人以上が拉致され、1163人が死亡したとAFP通信は伝えている。AP通信は、ガザ保健省のデータから、その後のイスラエルによるガザ攻撃で3万3000人近いパレスチナ人が死亡したと報じた。

10月7日のハマスの襲撃は暴力と混乱に満ちていたため、正確な数字を確認することは難しい。イスラエル国防軍(IDF)がガザ地区で作戦を展開している最中でもあり、地区内の多くの人質の状況は依然明らかになっていない。

ハマス側は、イスラエル国防軍の攻撃で数人が死亡したと主張している。ハマスは10月7日の襲撃以前からイスラエル人数名を人質として拘束していたが、彼らがまだ生きているかどうかはわからない。

IDFの報道官は5日、これまでに123人の人質が解放され、134人(うち外国人11人)がまだ拘束されている、と本誌に語った。

生存する人質は100人前後?

人道的な理由で解放された人質や、イスラエル軍の作戦によってガザ地区内で解放された人質は少数で、多くは11月に7日間の停戦と捕虜交換の一環として解放された。

残った人質の数については、さまざまな推測がある。ニューヨーク・タイムズは今年2月、ガザ地区にはまだ136人の捕虜がいると報じ、イスラエルの諜報部員の言葉を引用して、このうち少なくとも30人はすでに死亡している可能性があると伝えた。

ウォールストリート・ジャーナルは3月、ガザ地区に残っている人質は130人で、そのうち少なくとも34人は死亡したと見られると報じた。

人質の解放はイスラエルの戦争の中心的な目標だが、IDFによるガザ地区への激しい空爆や、ハマスがしばしば人質拘束にも使う地下トンネルへの激しい砲撃が、人質の命を危険にさらしていることは観測筋にしばしば指摘されている。

ハマス側は、10月7日以降の人質数名の死亡はイスラエル軍の空爆が原因だと主張している。ガザ地区では12月にイスラエル軍によって3人の人質が射殺された。

人質の運命は、なかなか進まないイスラエルとハマスの停戦交渉の行方次第だ。ハマスは残りの人質全員を解放する条件として、恒久的な停戦とイスラエル軍の撤退、さらにイスラエルの刑務所に収監されているパレスチナ人囚人の解放と、避難中のガザ住民全員の自宅への帰還を要求している。

人質問題はイスラエル国内で政治的な色彩を帯びている。ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる戦時内閣は人質を解放する努力をほとんどしていないと感じている国民は多く、全国で数万人規模の抗議デモが続いている。

「私が人質を返すために全力を尽くしていないと言う人は誰でも誤解しており、他人を間違った方向に導いている」と、ネタニヤフは7日に発表されたビデオ声明で述べた。「真実を知りながらこの嘘を繰り返す者は、人質の家族に不必要な苦痛を与えている」

「繰り返すが、私は、女性も男性も、民間人も兵士も、生きている者も犠牲者も、すべての人質を返すことを約束する。一人たりとも置き去りにするつもりはない」


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