北朝鮮が、韓国の無人機(ドローン)による首都平壌への「領空侵犯」があったと強く主張し、韓国は事実関係を確認できないと反論、南北が激しい応酬を繰り広げている。北朝鮮国営の朝鮮中央通信は13日、朝鮮人民軍総参謀部が12日付で、軍事衝突に備えて南北の軍事境界線付近にいる部隊に「完全射撃準備態勢」を整えるよう命じたと伝えた。韓国側は、北朝鮮が緊張を高めていると反発している。
ことの発端は、北朝鮮外務省が11日に発表した「重大声明」だ。3日から10日にかけ計3度にわたり、韓国からの無人機が平壌中心部に飛来し、体制を批判するビラを散布したと主張。「自衛権に従い報復を加えるべき重大な政治的、軍事的挑発と見なす」と強調した。同通信は無人機の写真や、無人機が散布したとするビラの写真も配信した。
韓国政府は11日、事実関係を確認できないと反論した。すると金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の妹、与正(ヨジョン)党副部長が12日、再び無人機が飛来すれば「惨事が起きる」と軍事的な報復を示唆した。これに対し韓国国防省は声明で「北朝鮮が韓国国民の安全に危害を与えたら(報復で)北朝鮮の政権は終わる」と警告した。
韓国メディアは、民間団体が無人機を飛ばした可能性を報じているが、実態は不明だ。韓国大統領府の申源湜(シン・ウォンシク)国家安保室長は13日、韓国KBSテレビの番組で、北朝鮮の体制が揺らいでおり、内部を統制するために南北間の緊張を高めているとの見方を示した。【ソウル福岡静哉】
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