米国で出版された書籍「カマラ・ハリスの業績」の表紙イメージ=書籍の電子版より

 米国で9月下旬に出版された書籍「カマラ・ハリスの業績」が、通販サイト「アマゾン」でベストセラーの上位に入っている。11月の大統領選で民主党のハリス副大統領を支持する「説得力のある理由」を記すとうたっているが、191ページの大半は白紙。「ハリス氏に業績がないと言いたかった」という著者も「中身がない本」の異例の売れ行きに驚いている。

 「カマラ・ハリスの業績」は、西部ワシントン州に本部がある保守系のNPO組織「フリーダム財団」のジェーソン・ドゥーダッシュ氏が個人として執筆した。序文や章立てはあるが、「経済政策」「教育」「外交」など各章は白紙ばかりだ。アマゾンの本の説明欄には「左派系の弁護士対策として記す必要があるが、この本は大半は空っぽだ」との注意書きもある。

 動画投稿アプリ「TikTok」やX(ツイッター)で、ページをめくると白紙ばかりだと示す動画が話題になり、アマゾンでの売り上げも増加。9日時点でベストセラーのランキングでトップ20に入っており、「政治的ユーモア」部門ではトップだ。

 ドゥーダッシュ氏は毎日新聞の書面での取材に「ハリス氏が20年以上公職にありながら、文字通り何も国民にもたらしていないことを示したかった。彼女は出世よりも、笑いの種にされる方がふさわしい」と“執筆”の理由を説明。「ベストセラーで上位になったことには驚いた。多くの人がハリス氏について私の見方を共有しているのだと思う」と語った。

 大統領選では共和党のトランプ前大統領の勝利を予想。「既に一度大統領を務めているし、バイデン政権になってトランプ前政権より生活が良くなったと心から言える人はいないのではないか」との見方を示した。【ワシントン秋山信一】

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