イスラエルのネタニヤフ首相(右)とバイデン米大統領=AP

 イスラエルのネタニヤフ首相は9日、米国のバイデン大統領と電話協議を行った。イスラエルはイランによる1日のミサイル攻撃を受けて報復すると宣言しており、標的などについて話し合ったとみられる。イスラエルのガラント国防相は9日、「我々の攻撃は致命的で、驚くべきものになるだろう」と述べた。

 米ニュースサイト「アクシオス」によると、イスラエル当局者は「報復はかなり大きなものになる見込みだ」と説明。その上で、軍事標的への空爆と要人暗殺を組み合わせたものになるだろうと語っている。

 ネタニヤフ氏は10日に治安閣議を召集する予定だ。イスラエルの法律では、イランとの全面戦争につながりかねない重大な軍事行動には閣議での決定が必要だという。

 イスラエルによる報復攻撃の標的を巡っては、イランの軍事施設や石油関連施設のほか、一部からは核施設を狙うよう求める声も出ている。イラン革命防衛隊のファダビ副司令官は、石油関連施設などが攻撃された場合は「イスラエルのガス田などを標的にする」とさらなる報復を警告している。

 バイデン政権はイスラエルの報復は容認する姿勢だが、イラン側からの激しい対抗措置が予想される核施設や石油施設への攻撃には反対している。

 ネタニヤフ、バイデン両氏の電話協議は8月21日以来で、ハリス米副大統領も参加。ホワイトハウスのジャンピエール報道官は「生産的だった」と説明した。

 ただ、これまでバイデン氏はネタニヤフ氏に再三、停戦や自制を求めてきたが、イスラエルは戦線を拡大しており、両氏は関係の悪化が指摘される。11月の米大統領選を前にバイデン氏の影響力は低下しており、その意向がネタニヤフ政権の決定にどの程度反映されるかは不明だ。【エルサレム松岡大地、ワシントン松井聡】

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