大砲を撃つウクライナ兵(バフムト、3月6日) Radio Free Europe/Radio Liberty/Serhii Nuzhnenko via REUTERS
<ロシアの「軍事同盟」先として存在感を強める北朝鮮。ウクライナの攻撃で、北朝鮮がロシアに武器・弾薬を売るだけでなく、訓練のために軍人をロシアに派遣する人的交流も始めている、という観測が裏付けられた>
ウクライナ東部ドネツク州のロシアが実効支配する地域で10月3日、北朝鮮の兵士6人が死亡したと、ウクライナの複数のメディアが4日、伝えた。
キーウ・ポストとインタファクス・ウクライナ通信は情報筋の話として、北朝鮮軍の将校6人を含む20人以上の軍関係者がミサイル攻撃で死亡したと伝えた。
メッセージアプリのテレグラムのロシア語チャンネル「クレムリンの嗅ぎタバコ入れ」によれば、さらに3人の北朝鮮軍の将校が攻撃でけがをし、治療のためにモスクワに移送されたという。
このチャンネルは匿名の軍関係者の話として、攻撃を受けた際に北朝鮮の将校たちは訓練場にいて、ロシア軍兵士から「攻撃や防御の訓練や、アメリカの武器への対処法」について説明を受けていたと伝えた。
本誌は5日、ウクライナ外務省には電子メールで、ロシア政府にはウェブサイトからコメントを求めたが、回答は得られていない。
ウクライナ国防省情報総局(GURMO)は昨年、北朝鮮の軍関係者がドネツク周辺のロシア支配地域に到着したとの見方を示していた。
一方で、ウクライナ軍の関連組織である国民抵抗センターは昨年9月23日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が北朝鮮の金正恩総書記に対し、ドネツク州とルハンスク州のロシア支配地域に建設労働者を派遣するよう求めたと伝えた。
相互防衛義務を負う関係?
2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、北朝鮮はロシアの同盟国としての存在感を強めている。アメリカは北朝鮮がロシアにミサイルなどの兵器を送っていると非難しているが、ロシアと北朝鮮は否定している。
6月、プーチンは24年ぶりに北朝鮮を訪問。その際にプーチンと金はいわゆる「包括的戦略パートナーシップ条約」に調印した。
この条約には、NATOの集団防衛体制の根幹である北大西洋条約第5条(1つの締約国が武力攻撃を受けたら、全締約国に対する攻撃とみなす)と類似の条項が含まれている。
北朝鮮の国営メディアが報じた条約の条文によれば、一方の国が「武力侵攻を受けたことにより戦争状態になった場合」、もう一方の国は「行使しうるすべての手段でただちに軍事的およびその他の援助を提供する」とされている。いわば「相互防衛義務」だ。
米国防総省のパット・ライダー報道官は6月、北朝鮮がドネツク州のロシア軍に人員を送る件について記者会見で尋ねられ、「間違いなく目を離すことのできない問題だ」と述べた。
「もし自分が北朝鮮軍の兵員管理の担当官だったら、ウクライナに対する不法な戦争で、砲火の餌食になることが分かっていながら自軍の兵士を送り込むという自らの選択に疑問を持つだろう」とライダーは述べた。
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