雑誌は記録的に売れたが、メーガンはバッシングの的に ASTRIDA VALIGORSKY/GETTY IMAGES
<「ポリコレすぎ」と炎上した5年前の特別号、メーガンと名門ファッション誌との蜜月は今も続く。ヴォーグはメーガンが選んだ15人に9月号で新たに変革者を推薦させた>
英国版ヴォーグ誌がメーガン妃をゲスト編集者に迎えた2019年9月の特別号『変革をもたらす勢力』が5周年を迎えた。
王室のメンバーがヴォーグのゲスト編集者を務めるのは、初めてのことだった。メーガンはエドワード・エニンフル編集長(当時)とタッグを組み、時代を変える変革者と評価する15人の女性にスポットライトを当てた。
表紙を飾ったのは写真家ピーター・リンドバーグによる15人の肖像。16人目のスペースは鏡になっており、読者を変革者として映し出した。
メーガンによるミシェル・オバマのインタビューも載った特別号は英国版ヴォーグ史上最速の売れ行きを記録、10年で最も売れた号となった。
そのレガシーは健在。5周年を記念し、ヴォーグはメーガンが選んだ15人に9月号で新たに変革者を推薦させた。
19年に選ばれたのは俳優のサルマ・ハエック、環境保護活動家のグレタ・トゥーンベリ、ボクサーのラムラ・アリ、ニュージーランド首相(当時)のジャシンダ・アーダーン、モデルのアドゥ・アケチら15人。今回ハエックはアンジェリーナ・ジョリーを、アケチは人権派弁護士でジョージ・クルーニーの妻のアマル・クルーニーを推した。
英国人の神経を逆なで
現在は編集顧問を務めるエニンフルは特別号について、9月号で「一過性でないムーブメントをつくるのが目的だった」と振り返った。
「ヴォーグは多くの活動家や先駆者を取り上げてきた。今後も現状を打破しようとする人々に光を当て、その声を通じて議論を形成していかなければ」
商業的には大成功を収めた19年の特別号だが、メーガンは激しいバッシングを浴びた。
22年、元バニティ・フェア誌編集長のティナ・ブラウンは王室暴露本『ザ・パレス・ペーパーズ』で、メーガンがイギリスでメディア対応に苦労していたことを踏まえ、特別号を「大失敗」と呼んだ。
「この号には(ポリティカルコレクトネスや傲慢そうなアメリカ人といった)イギリス人が嘲笑したがる要素が詰まっていた」と、彼女は書いた。
「何より非難を招いたのは、メーガンが選んだ変革者が一様にリベラルだった点。保守派のタイムズ紙は15人を『ポリコレ名簿』と揶揄した」
エリザベス女王とキャサリン妃が選ばれなかったことも、注目を集めた。
15人の女性をフィーチャーした2019年の特別号の表紙 HANDOUT/GETTY IMAGESブラウンはさらに続けた。「特別号を、タブロイド紙は鼻持ちならないナンセンスと見なし、一流コラムニストは偽善と考え、極上のキャメルコートはどこで手に入るのか、という類いの問題の解決法を求める従来の読者層は意味不明と判断した」
発売後、エニンフルはガーディアン紙で一部のバッシングを批判した。「あれは人種差別の域を越えていた......メーガンへの個人攻撃だった」
メーガンが王室を離脱し渡米してからも、ヴォーグとの蜜月は続く。人工妊娠中絶を認めたロー対ウェード判決を22年に米最高裁が覆すと、メーガンは米国版でフェミニズム運動の草分けグロリア・スタイネムと対談した。
よくも悪くも注目されるメーガン妃を、名門雑誌も簡単には手放せないのだろう。
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