北京に到着した米国のブリンケン国務長官=北京の首都国際空港で2024年4月25日、ロイター

 ブリンケン米国務長官は26日、北京で中国の王毅共産党政治局員兼外相と会談した。台湾や南シナ海情勢、ロシアによるウクライナ侵攻などを巡って意見を交わすとみられる。双方とも安全保障の分野などでは対立しつつも、対話継続を確認することで関係の安定化につなげたい考えだ。

観光名所の「外灘」を歩くブリンケン米国務長官(前列右から4人目)=上海市内で2024年4月25日、ロイター

 ブリンケン氏の訪中は2023年6月以来、10カ月ぶり。米中は23年11月の米カリフォルニア州での首脳会談以降、さまざまな分野で高官による対話を重ねてきた。ブリンケン氏は今回の訪中で習近平国家主席とも会談する可能性がある。

 米国は中国がロシアの防衛産業を支援していると見ており、米政府高官によると、中国側に軍事転用が可能な半導体などのロシアへの輸出をやめるよう求める。

 台湾では5月20日に中国が独立派とみなす民進党の頼清徳新政権が発足する。米国は中国が挑発的な行動を取らないよう促すほか、南シナ海での領有権争いで中国がフィリピンに威圧的な行動を続けている問題でも自制を要求するとみられる。

 一方の中国側は台湾への関与を控えるよう米側に改めてクギを刺すとみられ、激しい応酬になりそうだ。南シナ海を巡っても、中国は日米比の協力強化や米側が一時的としている中距離ミサイル発射装置のフィリピンへの配備、米英豪の安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」と日本との協力検討の動きなどに警戒を強めており、会談でも介入しないよう求めるとみられる。

 また、安全保障上の懸念を理由に米国で中国系企業が運営する動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の利用禁止につながる法律が成立したことや、中国による電気自動車(EV)や太陽光パネルの過剰生産なども議題となりそうだ。

 米側は中国の過剰生産が市場の競争原理をゆがめていると批判しており、この点についても対応を求める方針だ。

 会談に先立ち、中国国営新華社通信は23日、中国外務省高官の談話として「(米国の動きは)中国の産業の発展を抑え込もうとする悪意が含まれており、露骨な経済的強制といじめだ」と主張しており、中国側は会談でも強く反発することが予想される。【北京・岡崎英遠、ワシントン松井聡】

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