口座から不正送金したとされる額は24億円あまり。大谷選手の通訳だった水原一平氏が銀行詐欺という容疑で訴追されました。

■大谷選手は「被害者」 水原容疑者 不正送金は24億円超

日比麻音子キャスター:
水原一平容疑者は、2021年11月から2024年1月にかけて、合わせて約24億5000万円を不正に送金した銀行詐欺の疑いで訴追となりました。

アメリカ連邦検察の会見では、「大谷選手との信頼関係を悪用し、口座にアクセスしていた」「大谷選手は被害者である」という内容も明らかになりました。

違法なスポーツ賭博に合わせて約1万9000回(1日平均25回)、1日で数千万円という額を賭けていたそうです。負け総額は約280億円、勝ち総額は約220億円で、損失は約62億円だといいます。さらに、勝ったお金は大谷選手の口座ではなく、水原容疑者の口座に送金されていたということです。

水原容疑者は賭博の胴元に対して、「限度額また広げられない?知っての通り返済しないことを心配する必要ないよ」という内容のメールを送っていたということです。限度額を広げることは可能なのでしょうか。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木淳司さん:
違法賭博の胴元が、「この人はこのくらいの財産を持っているから、100万円にしよう」など、限度額を設定しているわけです。

何度も限度額いっぱいになった水原容疑者が、胴元に「頼むからもうちょっと賭けさせてくれよ」と伝え、胴元が受け入れてエスカレートしていったことが読み取れます。少し共犯的な部分もあると思います。

日比キャスター:
水原容疑者の賭けていた額を見ても、限度額を広げてほしいというやりとりは一度きりではなかったのだろうなとも思います。

アメリカ連邦検察の会見では、大谷選手は「被害者である」という言葉もありました。どのようにご覧になりますか。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木さん:
私もたくさん連邦の事件を扱っていますが、今回のように被害者の名前をはっきりと何度も言うという事例はなかなかありません。被害者であれば「被害者」という言い方をしますし、告訴状にも「Victim 1」という書き方をします。今回は大谷選手の潔白をできるだけ示したいというベクトルが働いたのではないかと思います。

日比キャスター:
それだけ大谷選手が関与していないという証拠も集まったということでしょうか。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木さん:
連邦検察はものすごく優秀ですし、水原容疑者と弁護士も協力して、すでに証拠を出しているということなので、ほぼ(容疑が)固まった状態だと思います。

産婦人科医 宋美玄さん:
まずは大谷選手の潔白が強調されて本当に良かったと思います。

額も大きい違法賭博で、おそらく元々は少額を賭けていたのかなと思いますが、明らかにギャンブル依存なのかなと思ってしまいます。日本でも額は大きくなくても、ギャンブル依存で家族が困るということはあると思います。

水原容疑者が罪に問われるとして、ギャンブル依存のセラピーなども罰則と並行して進むことはあるんでしょうか。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木さん:
ギャンブルに限らず、DVやアルコールなど社会問題になっている依存症があります。刑を科すにしても、アメリカは必ず“教育刑”として、何らかのクラスに行くとか、講習を受けて、それを終えたという修了書を出すということをしています。

南波雅俊キャスター:
アメリカの場合は賭博が合法な地域もありますが、アメリカ全体で依存症の問題はどうなっているのですか?

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木さん:
カリフォルニア州は2023年、住民投票でスポーツ賭博を採用しませんでした。やはり依存に対してアレルギーがあるということではないかと思います。ギャンブル依存に関しては、セラピーする機関が各州に設けられています。そういう機関がない限りギャンブルだけでは成り立たない状況にあると思っています。

■大谷選手になりすまし送金か?「銀行詐欺罪」なら禁固30年も

日比キャスター:
2018年にメジャーリーグでの生活を始めるタイミングで、水原容疑者がサポートして、大谷選手は銀行口座を開設したといいます。そのためログイン方法を知っていたとみられています。

さらに、銀行の記録によると、「取引確認などを通知する連絡先が水原容疑者のものに変更されていた」、「高額送金では、水原容疑者が大谷選手になりすまし、送金するように依頼も」ということです。なりすますということは可能なのでしょうか。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木さん:
通常、銀行が送金について疑問があった場合は、登録された番号に電話をかけて、個人情報などを確認します。おそらく水原容疑者は、大谷選手の誕生日などいろいろな情報を持っていて、こういう事態に繋がったのではないかと思っています。

日比キャスター:
水原容疑者は、「銀行詐欺罪」(30年以下の禁固、および100万ドル以下の罰金)に問われることとなります。鈴木弁護士によると、「司法取引をして15年以下の禁錮になる可能性もあるが、実刑は免れない」ということです。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木さん:
私の経験からもほぼ実刑で、禁固は短くないと思います。私が実際に扱った事件でも、禁錮20年が上限で、5年まで落としたケースもありましたが、その事件はここまで悪質な行為は全くありませんでした。

今回の場合、なりすましなどの欺く行為が大谷選手に対しても、銀行に対してもあったということで、かなり重い罪になると思います。司法取引する、しないでも、20年~30年という期間が視野に入ってくると思います。

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