アメリカを訪れている自民党の麻生副総裁がトランプ前大統領と会談しました。11月の大統領選挙をにらんだ双方の思惑はなんでしょうか。

■米大統領選「もしトラ」備え、麻生氏会談で人脈構築へ

日本時間のけさ、トランプタワーの玄関で麻生氏を出迎えたトランプ前大統領。

アメリカ トランプ前大統領
「麻生氏は日本やほかの国でも尊敬されていて、私も好きな人だ。私たちの大切な友人シンゾー(安倍晋三元総理)を通して知り合った。そうでしょう?私たちはシンゾーを愛している。彼はとても偉大な人物だった」

トランプ氏は親交があった安倍元総理について「グレート=偉大だ」と6回も触れ、その盟友・麻生氏を歓迎してみせました。

トランプ陣営によりますと、およそ1時間の会談では中国と北朝鮮をめぐる問題などを協議。終了後、公開された写真には…2人の手には大きな鍵。現地メディアによりますと、この鍵はトランプ氏が“特別なゲスト”に渡す記念品として自らデザインしたという「ホワイトハウスの鍵」で、大統領在任中にはイスラエルのネタニヤフ首相にも贈られていました。

トランプ氏のもとにはこのところ、各国要人が相次いで訪問。11月の大統領選でトランプ氏が再選する可能性、いわゆる「もしトラ」を視野に入れた動きとみられます。

麻生氏の訪問も再選に備えた人脈構築が狙いとみられ、1月の訪米では見送られた会談がようやく実現した形です。

一方のトランプ陣営、会談後には早速SNSに写真を投稿。また、会談前にはこんな声明も。

トランプ陣営の担当者
「トランプ氏が大統領だったら、世界は今より平和になっていたと世界中のリーダーは知っている」

トランプ氏が世界の指導者から重要視されているとアピールする狙いとみられます。

■“もしトラ”備えの一方、配慮も…

ニューヨークで実現した、自民党の麻生副総裁とアメリカのトランプ前大統領の面会。

林芳正 官房長官
「政府として関与していない一議員の立場についての活動について、コメントすることは差し控えたいと思います」

今回の面会について自民党幹部は、「トランプ氏が大統領選に勝った場合に備えて、誰かがパイプ役になっておいた方が良い」と話していますが…

立憲民主党 小熊慎司 衆院議員
「バイデン政権関係者が『まったく下品で全然ダメだ』と、そう言いたい気持ちもわかりますよ。この間、岸田さんが(米国に)行ったばかりでこれですもの。どう思いますか、どう見解を持ちますかということです」

上川陽子 外務大臣
「今のようなことについてもどなたが言ったかよく分かりませんけれども、あったかもしれません。その反応がどうか、また受け止めはどうかということについて、私自身が外務大臣としてお答えをすることについては立場にないということを申し上げたいと思います」

バイデン政権への配慮から、官邸幹部は口々に「岸田総理から頼んだわけではない」「総理から何かを託したということはない」などと話し、政府の動きとは関係ないということを強調しています。

■「候補者とトップレベルの政治家が会談するのは極めて異例」

井上貴博キャスター:
通常、大統領選挙前は事務方レベルでの関係構築のみですが、「候補者とトップレベルの政治家が会談するのは極めて異例」と明海大学の小谷哲夫教授は話しています。

一方で、4月9日~13日に岸田総理は国賓待遇で訪米していました。

岸田総理が訪米した直後のトランプ氏と麻生氏の会談について、「このタイミングでの会談は、バイデン陣営がメンツを潰されたと感じてもおかしくない」とも小谷教授は話しています。

ホラン千秋キャスター:
確かに色々なスケジュールを考えると、このタイミングしかないということだったのかもしれませんが、「メンツを潰されたと感じてもおかしくない」と思うのは、「そうだよな」という感じはありますよね。

井上キャスター:
だからこそ、「政府内にいない麻生氏であればいいんじゃないか」ということだったんですかね。二大政党制なので、日本としてはどちらが勝ってもしっかりと関係を構築しておきたいということですね。

小谷教授は、「日本側はすでにトランプ氏が大統領再選の可能性が高いとみている可能性も。政治家レベルで繋がっていたいのではないか」と話しています。

麻生氏との会談後、トランプ氏はSNSで円安・ドル高について、「アメリカにとって大惨事だ。愚かな人々には聞こえが良いが製造業などには大惨事だ」と投稿しています。

また、アメリカメディアは、「トランプ政権当時の高官らが再選した場合に備え、ドル安誘導政策を議論」と報じています。

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