ブラジル最高裁のモラエス判事=AP

 ブラジル最高裁は30日、短文投稿サイト「X(ツイッター)」の国内利用を禁じる命令を出した。法定代理人をブラジル国内に置くようXに命じたが、オーナーのイーロン・マスク氏が応じなかったことを理由にしている。Xは権威主義的な政権の中国やロシア、北朝鮮などで使えないが、ブラジルのような民主主義国家で使えなくなるのは異例。米メディアなどが報じた。

 最高裁のモラエス判事が、国内の通信会社やインターネットプロバイダーに対し、Xへの接続をブロックするよう命じた。VPN(仮想プライベートネットワーク)を使って接続した個人や企業には罰金を科すという。

X(ツイッター)のオーナー、イーロン・マスク氏=AP

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、モラエス判事は2022年大統領選で敗北したボルソナロ前大統領を支持する右派など少なくとも140のアカウントを削除するようXに命じた。ボルソナロ氏の支持者たちが23年1月に議会や最高裁を襲撃した事件に同調するアカウントもあったが、「言論の自由絶対主義者」を自称するマスク氏は命令に応じなかった。

 Xは、アカウントを削除しなければブラジル司法当局による逮捕者が出る恐れがあるとして、8月中旬にブラジル支社を閉鎖。これに対しブラジル最高裁は速やかに国内に法定代理人を置くよう命じたがXは従わなかった。マスク氏は、Xへの投稿でモラエス氏を「悪の独裁者」などと攻撃していた。【ワシントン大久保渉】

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