兵器の試験射撃を視察する金正恩・朝鮮労働党総書記=北朝鮮で8月27日、朝鮮中央通信・朝鮮通信

 非営利団体「言論NPO」(工藤泰志代表)は30日、日米中韓の4カ国の専門家へのアンケート調査に基づく「北東アジアの平和を脅かす10のリスク」を公表した。朝鮮半島情勢や米中対立に加え、11月の米大統領選の影響を懸念する声もあった。

 調査は毎年実施。今回は4カ国の外交や安全保障の専門家計161人が回答した。紛争発生の要因を、可能性や影響の大きさを踏まえて採点してもらい、順位付けした。

 1位は「北朝鮮が核保有国として存在し、ミサイル発射などの挑発的な行動を繰り返していること」だった。そのほか、6位に「日米韓と中国、ロシア、北朝鮮の『新冷戦』の構造」、10位に「ロシアと北朝鮮の『包括的戦略パートナーシップ条約』」が入るなど、朝鮮半島情勢への懸念が目立った。

 また、2位には「サイバー攻撃の日常化」、6位(同率)には「経済の安全保障化」が入り、米中関係については、軍事面以外でも対立の懸念が広がっていることがうかがえる。

 このほか、9位には「米大統領選結果が北東アジアにいかなる影響を及ぼすか不透明なこと」が入った。特に韓国の専門家が指摘しており、トランプ前米大統領が当選した場合、独自の北朝鮮外交を展開することを不安視している。

 調査の詳細は言論NPOホームページ(https://www.genron-npo.net/)。言論NPOは今回の調査結果を踏まえ、9月3、4日に東京都内で、4カ国の専門家を集めて北東アジア地域の平和を話し合う「アジア平和会議」を開催する。【松倉佑輔】

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