演説する国連のグテレス事務総長=トンガのヌクアロファで2024年8月26日、AP

 国連のグテレス事務総長は27日、気候変動の影響で世界の海面水位が過去3000年で前例のない速さで上昇しているとして、南太平洋の島国トンガから「SOS」を呼びかけた。

 SOSは助けを求める信号と、英語の「セーブ・アワ・シー」(私たちの海を守れ)の頭文字をかけたもの。

 世界気象機関(WMO)によれば、南・西太平洋は世界平均を上回る海面上昇の加速▽海水温の上昇▽二酸化炭素(CO2)の吸収による海の酸性化――の「三重苦」に直面している。トンガの首都ヌクアロファの海面は、過去30年で世界平均の倍に相当する21センチ上昇した。

 太平洋の島国では人口の9割が海岸から5キロ以内に暮らし、重要インフラの半分が海から500メートル以内にあるという。排出する温室効果ガスは世界全体の0・02%に過ぎないが、気候変動がもたらす影響の最前線に立つ。

 グテレス氏は「救命ボートのない、想像を超えた規模に危機はふくれ上がる。しかし、もし太平洋を救うことができれば、私たち自身を救うことができる」と指摘。海面上昇は世界の沿岸都市に共通する危機だと強調し、化石燃料への依存を減らし、世界の気温上昇を1・5度に抑える国際目標を守る重要性を訴えた。【ニューヨーク八田浩輔】

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