ロシア軍が迫って避難するポクロウシクの住民 REUTERS/Thomas Peter

<クルスクへの越境攻撃で兵力を分散しすぎたか、東部ドネツク州の交通のかなめ、ポクロウシクにロシア軍が迫る>

ロシア軍が、ウクライナのドネツク州ポクロウシク市の近くまで進軍し、近隣地域を制圧しているらしいことが、新たな戦況地図で明らかになった。

【マップ】交通の要衝ポクロウシクに迫るロシア軍

ウクライナ軍が8月6日、ロシア領のクルスクに予想外の越境攻撃を仕掛けたことから、ロシア軍は、ウクライナの主要な物資輸送のハブであるポクロウシクを奪取する賭けに出たようだ。

ロシア軍部隊は、この週末さらに前進したと、戦争研究所(ISW)が8月24日に公表した¥ロシア侵攻作戦の評価レポートは記している。

ロシア軍は8月23日、ポクロウシクの南東に位置するカルロフカの東部と、ポクロウシクの南東にあるミコライウカの北東部まで前進したようだ。

さらに8月24日には、ロシア軍の兵士たちが、ポクロウシクの南東に位置するノボフロジウカの郊外まで進軍し、町の中心部にあるノボフロジウカ市庁舎、およびポクロウシクの東にあるクラスヌイ・ヤールを占拠した形跡が認められる。

位置情報が付いた映像およびロシアの軍事ブロガーの情報を引用する形で、ISWが伝えたものだ。

8月24日には、ウクライナのオープンソース・インテリジェンス・サイト「ディープ・ステート」が、ロシア政府はポクロウシク方面で「戦術的成功を発展させる」作戦を続けていると報告した。ポクロウシクとその周辺地域のウクライナ住民には避難命令が出されている。

周辺住民は避難

同サイトは、ロシア軍の部隊がノボフロジウカの複数の建物に拠点を築こうとしており、ウクライナ軍はそれをクラスヌイ・ヤールの村の方向に押し返そうとしていると報告している。

ポクロウシクを手中に収めれば、ロシアにとっては戦術的な勝利になる。この町は鉄道と道路が接続する物資輸送のハブであるだけでなく、ドネツク州における前線の近くに位置しているからだ。

国境なき医師団は、子どもや家族、高齢者など、移動に制約がある人々について、ポクロウシクおよび付近の町からの避難を支援していると発表した。

避難用の列車がドニプロに停車する。一部の人は、より安全な地域に住む親戚のもとへと逃れ、それ以外の人は、ウクライナ西部に設けられた国内避難民向けシェルターを頼りにしている。

ミルノフラドの住民で83歳のライサ・エプシュテインは、本誌の取材にこう語った。「すべてを置いてきた。恐しい。誰もが瀬戸際だ。私の故郷は破壊された」

ウクライナ政府が戦線を拡大しすぎたためにドネツク州に間隙が生まれたのではないか、といの懸念をよそに、ウクライナ軍はクルスク州への越境攻撃を続けている。

ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は8月20日、ウクライナ軍がクルスク州において、合計で1250平方キロのロシア領土と、92の集落を掌握したと発表した。
(翻訳:ガリレオ)

【マップ】交通の要衝ポクロウシクに迫るロシア軍

北西の端に縁取られているのがポクロウシク市。東からロシア軍が迫っている

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