マスク(左)とトランプのXアカウント Photo by Jakub Porzycki-NurPhoto
<大統領選でトランプの再選を支持するマスク、トランプが再選されたら共に連邦政府職員の大規模リストラに参加したいと申し出た>
ドナルド・トランプ前大統領は、テック企業の大富豪イーロン・マスクとXの音声サービス「スペース」で長時間に渡って対談し、トランプは労働条件について不平を言う労働者は即座に解雇するというマスクを賞賛した。
マスクとトランプは8月12日の夜、X(旧ツイッター)のスペースで2時間近くにわたって音声のみの対談を行った。マスクが2022年後半に購入したXの一連の技術的不具合のため、対談は40分以上遅れて始まったが、その後、2人は多くの話題に触れた。
トランプの2024年大統領選再選を支持するマスクは、第2次トランプ政権が発足した場合、「政府効率化委員会」を設置することを望んでおり、その委員会に自らも志願すると述べた。
トランプは、マスクの従業員への対応を称賛した。
「あなたのやり方は気に入った。最高だ。従業員の前で『君らは辞めたいのか』と言うだけだ。会社名は伏せるが、ストライキを行った従業員に、あなたは、『問題ない。君たちはみんないなくなる』と解雇した」
マスクが苦笑すると、トランプは「あなたは最高だ」と言い、こう付け加えた。「あなたは(提案された委員会に)ぴったりの人材だよ。ああ、きっと気に入るよ」
ハリス陣営はすぐに反応
カマラ・ハリス副大統領の選挙陣営はすぐこの発言に飛びついた。対談が終わる前に、このやりとりのクリップとコメントをXに投稿した。
「トランプは億万長者のイーロン・マスクが、賃金と労働条件の改善を求めてストライキを起こした労働者を解雇したことを称賛している」と、ハリス陣営は共有した音声クリップにコメントをつけた
ハリス陣営のスポークスマン、ジョセフ・コステロはその後、この対談に関する声明を発表。トランプとマスクのことを「中産階級を売り渡し、2024年の今、ライブ配信もまともに扱えない自己中心的な金持ち連中」と嘲笑した。
マスクは、ライブ配信の開始が遅れたのは「Xへの大規模なDDOS(分散型サービス妨害)攻撃」のためだと主張した。だがサイバーセキュリティ監視団体のネットブロックスなどの企業は、マスクの主張に懐疑的な見方を示し、DDoS攻撃であれば通常ウェブサイト全体に影響を及ぼすはずだと指摘した。
マスクとトランプの対談が行われた13日、二人の対談開始が遅れた時間帯もXの他の部分は順調に運営されていたようだ。
トランプは対談の同時視聴者は100万人から140万人にのぼり、マスクは「あらゆる記録を塗り替えた」と主張した。
トランプがこの対談で言及した大量解雇がいつ行われたのか、またどの会社で行われたのかは不明(マスクはテスラ、スペースX、ニューリンク、ボーリング・カンパニーを経営している)。だが、テック業界の億万長者の労働者に対する仕打ちは、これまでも批判にさらされている。
マスクはかつて、テスラの従業員が労働組合を結成したら従業員のストックオプションを取り上げると脅したことがある。全国労働関係委員会 (NLRB)はこの投稿が労組結成を妨げ得る違法な脅しに当たるとし、撤回を求めて裁判に訴えた。
ツイッターを買収した直後、マスクは従業員の約半数を解雇した。その中には、マスクが右翼的な偏見を押し付けていると非難した従業員が少なくとも1人含まれていた。
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