ウクライナ軍が、侵攻後初めて、ロシアの領内で本格的な“越境攻撃”を続けています。

6日から始まったロシア領内での攻撃。12万1000人以上が避難しています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、一連の攻撃がウクライナ軍によるものだと初めて認めました。

ゼレンスキー大統領の大胆な戦略は、長引く戦争に疲弊している国民も支持をしています。

スムイ州の住民
「我が軍がやらなければ、ロシア軍が、そうしただろう。戦争が、より早く終わるかもしれない」
スムイ州の住民
「戦争が何なのか、ロシア人はわかっていない。彼らが味わえばいい」

ロシア南部・クルスク州。いま、SNSでこの地名を入れると、ウクライナ国旗を手にした兵士の動画が大量に出てきます。

スムイ州からロシアのクルスク州へ入ったウクライナ軍は、数千人。集落を次々と制圧し、国境から約30キロまで到達しています。

スムイ州住民
「(Q.戦闘機は見たか)見ましたよ。きょうはミサイル、きのうはヘリコプターも見ました」

今回の攻撃、ゼレンスキー大統領が“ウクライナの正規軍によるもの”と認めています。

ウクライナ・ゼレンスキー大統領
「ウクライナは正義を取り戻し、侵略者に必要な圧力をかけています」

専門家は、越境攻撃の最大の狙いについて、こう指摘します。

防衛省防衛研究所・兵頭慎治氏
「短期的には、ロシア軍を分散させて、東部の前線から引き離すことで、東部での守りをウクライナにとって有利にしたい軍事的な狙いもある。また、ロシア国内を不安定化させて、プーチン政権の権威を失墜させる政治的な狙いもあると思う」

一方、今回の越境攻撃では、使用が制限されてきた欧米供与の武器が使われていると、一部メディアが指摘しています。

ロシア側の攻撃にさらされている一部地域を守るため、使用容認の是非が取りざたされてきましたが、これについて、バイデン政権は、こう述べました。

ホワイトハウス・カービー大統領補佐官(9日)
「アメリカの方針に変更はなく、ウクライナは越境攻撃で、アメリカが供与した兵器を使っている」

供与された兵器を使用してまで行った攻撃。専門家は、大きな成果を得られるかは、見極めていく必要があると指摘します。

防衛省防衛研究所・兵頭慎治氏
「将来的には、アメリカなどから停戦和平交渉が提起される可能性もあるが、これに備える一つの交渉の切り札という狙いもあるのでは。ある程度、軍事的な制圧を確立しないと、この狙いは達成されないので、軍事制圧が中期的に続くかどうかにもよるのでは」

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