パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルの停戦交渉を仲介しているエジプトとカタール、米国の首脳は8日、共同声明を発表し、双方に対して交渉を再開するよう要請した。15日にドーハかカイロで協議を開くとしている。
ロイター通信によると、イスラエル首相府は交渉団を派遣すると明らかにした。一方、ハマスは最高指導者だったハニヤ氏が暗殺されたばかりでいっそう不信感を強めており、その出方が注目される。
共同声明はバイデン米大統領とカタールのタミム首長、エジプトのシシ大統領の連名で発表された。3カ国はこれまで、バイデン氏が5月に公表した3段階の停戦案をベースに交渉を進めてきており、大枠の合意案はできていると説明。「双方の期待に沿う形で残りの課題を解決し、最終案を提出する用意がある」とし、「これ以上時間を無駄にできない」と訴えた。
ハニヤ氏の暗殺を巡っては、現場となったイランがイスラエルによるものだったと指摘し、報復を宣言。イランや親イラン武装組織が近く、イスラエルに大規模な攻撃を仕掛ける恐れがあり、中東地域で緊張が高まっている。仲介国には停戦交渉の進展によって、イラン側が報復を再考する可能性があるとの期待感がある。
ただ、ハマスはハニヤ氏の後任として、ガザ地区のトップで昨年10月のイスラエルへの越境攻撃を指揮したとされる強硬派のシンワル氏を選出したばかりで、停戦交渉に臨むのかは見通せない状況だ。
ガザ地区では8日も激しい戦闘が続いた。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、北部ガザ市の2カ所の学校が空爆され、少なくとも15人が死亡した。ガザの保健当局は8日、これまでの戦闘による死者は3万9699人になったと発表した。【パリ金子淳、エルサレム松岡大地】
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