バイデン米大統領の演説を聞く中西部ミネソタ州のワルツ知事=2023年11月1日、AP

 11月の米大統領選に向けて、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領(59)が6日、自身の「伴走者」となる副大統領候補に中西部ミネソタ州のティム・ワルツ知事(60)の起用を決めた。非白人で女性のハリス氏とコンビを組むことになった白人男性のワルツ氏とは、どのような人物なのか。

 「中西部の裏庭で開かれるバーベキューで出会うような男だ」。米メディア「ポリティコ」はミネソタ州の民主党関係者の話として、ワルツ氏の飾らない人柄をこう伝えている。

 出身は中西部ネブラスカ州ウェストポイント。1964年生まれで、公立学校の管理者の父親と活動家の母親に育てられた。

 大学卒業後の89~90年には中国の高校で米国の歴史や文化、英語を教えた海外経験がある。帰国後に高校教師となり、ミネソタ州の高校では地理を教えながら、アメリカンフットボールのコーチを務めた。

 教職の傍ら、州兵を24年間務めている。2001年9月の米同時多発テロの後のアフガニスタン侵攻作戦「不朽の自由作戦」に関わった軍務経験も有する。

 政界入りは07年で連邦下院議員を6期12年、務めた。18年の知事選で初当選し、現在2期目。人工妊娠中絶の権利を保障する州法の成立や、学校給食の無償化などに取り組んできた。マリフアナ(大麻)を「娯楽用」としても合法化した。

 銃を保有する狩猟者で、武器所有の権利を保障した憲法修正2条を支持する。

 下院議員時代には銃規制に反対する米国屈指のロビー団体、全米ライフル協会(NRA)の支持を得ていた。しかし、その後は娘からの説得などを受けて銃規制派に転じ、知事として銃購入時の身元調査の拡大などを進めた。

 人物像としては、率直な物言いで知られる。7月にはテレビ番組で共和党のトランプ前大統領(78)とその副大統領候補のバンス連邦上院議員(40)を「奇妙な連中」と呼んだ。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、この言葉は現在、ハリス陣営がトランプ氏らを批判する際の決まり文句になっている。

 ワルツ氏は、私生活では94年に同じく教師だったグウェンさんと結婚し、娘と息子が1人ずついる。好きな飲み物は炭酸飲料「マウンテンデュー」の低カロリー商品。中国語を話せる。【ニューヨーク中村聡也】

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