新たな考古学的発見、エジプトの末期王朝時代を浮き彫りに Jordi Orts Segalés-Unsplash

<テル・エルディール遺跡で末期王朝時代の墓63基と貴重な金箔工芸品が見つかった>

エジプトで古代の墓数十基と大量の工芸品が発掘された。中には目の覚めるような金箔で作られた美術品もあった。

【画像】エジプトの末期王朝時代の巨大な墓、金箔工芸品と共に発見

末期王朝時代のものか

エジプト考古最高評議会が統括する考古学調査団は、エジプト北部の地中海に面した都市ニューダミエッタにあるテル・エルディール遺跡で、泥レンガの墓63基と複数の簡素な埋葬地を発見した。

エジプト観光・考古省の発表によると、墓は末期王朝時代(紀元前664~332年)のものと思われる。

その中に、社会的に高い地位にあったと思われる人々が埋葬された「巨大な」墓があった。墓の中からは、宗教的シンボルや人物をかたどったものなど、さまざまな形をした金箔の工芸品が見つかった。

さらに、プトレマイオス朝後期の青銅貨数十枚が入った陶磁器の器や、現地で生産されたり輸入されたりした陶磁器も発掘された。輸入品の陶磁器は、古代都市ダミエッタと地中海沿岸の都市との交易関係を浮かび上がらせている。

プトレマイオス朝とは?

プトレマイオス朝は、アレクサンダー大王がエジプト(当時はペルシャに支配されていた)を征服した紀元前332年に始まった。その後、プトレマイオス王国として知られるヘレニズム政治が紀元前305年に確立され、紀元前30年にローマ帝国に征服されるまでエジプトを支配した。

ニューダミエッタの発掘では、古代エジプトの葬儀で使われた小像ウシャブティ像の出土も注目される。ウシャブティ像は、死後の世界で死者に仕えさせるため、墓に安置されていた。

観光・考古省によると、テル・エルディールで新たに見つかった墓の配置は、末期王朝時代の別の墓にも見られる配置だった。

考古最高評議会のモハメド・イスマイル・ハレド事務局長はテル・エルディール遺跡の今回の発見について、古代のダミエッタがさまざまな時代を通して国際交易の中心地だった事実を浮き彫りにしたと指摘する。

7月には、ナイル川の水底に隠された古代エジプトの美術品や碑文が見つかったという発表もあった。

観光・考古省の発表によれば、美術品はナイル川流域のアスワン近郊で、エジプトとフランスの合同考古学調査団が発見した。

当時この場所に存在していた集落は戦略的に重要な位置にあり、王朝時代のエジプトの南の国境に面していた。

(翻訳:鈴木聖子)

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