執務室から国民向けに演説するバイデン米大統領=ワシントンで24日、ロイター

 11月の米大統領選での再選出馬を断念した民主党のバイデン大統領(81)は24日、ホワイトハウスの執務室から国民向けに演説した。撤退を決めた理由について「党や国を団結させる必要がある。新しい世代にバトンを渡すことが最善の道だと考えた」と述べた。来年1月までの残りの任期は職務に専念する。

 バイデン氏が演説するのは撤退表明後初めて。紺色のスーツに青いネクタイを着用し、約11分間演説した。

 バイデン氏は自身の実績は「2期目(を務めるのに)にふさわしい」と自賛する一方、「個人的な野心を含めて、いかなることも我々の民主主義を邪魔できない。大統領を務めたことは名誉だが、民主主義を守ることは肩書より重要だ」と説明した。

 その上で、党大統領候補としてハリス副大統領(59)を推薦したことについて、「新しい声、若い声が必要な時と場がある。それが今だ」と説明。「(ハリス氏は)経験があり、タフで有能だ。我々のリーダーだ」と評価した。

 さらに現在米国は歴史上まれにみる「分岐点」にあると強調し、「我々が下す決断が、米国と世界の運命を左右する。米国は、希望と憎しみ、団結と分裂の間で、前進するか後退するかの選択を迫られている」と述べた。

 残りの任期は、物価高や気候変動への対策、銃による被害から子どもたちを守ることなどに取り組むと説明。外交面では、北大西洋条約機構(NATO)やインド太平洋の同盟関係を強化する考えも示した。中東に平和と安定をもたらすことも目指すとした。

 大統領としての実績として、感染症の流行やその後の経済危機の克服、新規雇用の創出、貧富の格差の是正、米史上初めて黒人女性を連邦最高裁の判事に指名したことなどを挙げた。【ワシントン松井聡】

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