バングラデシュで、政府職員の採用の一部を退役軍人の家族らに割り当てる優遇措置に対する抗議デモが激化している。首都ダッカでは18日夜、デモ隊が国営放送局を襲撃し、AFP通信は19日までに治安部隊との衝突で少なくとも39人が死亡したと報じた。負傷者が2500人を超えるとの報道もあり、犠牲者はさらに増える恐れがある。
AFP通信によると、学生らを中心とするデモ隊は国営放送BTVの本部や、外に止まっていた多数の車両に放火した。建物内にいた職員は無事に避難したという。17日にハシナ首相が国民向けのテレビ演説を行い自制を呼びかけていた。
デモ隊が抗議している優遇措置は、1971年のパキスタンからの独立戦争を戦った軍人の家族らに政府職員の採用の一部を割り当てるもので、72年に導入された。一時廃止されたが、今年6月に裁判所が復活を認めていた。ハシナ氏は独立運動を率いたラーマン初代大統領の娘で、デモ参加者は、優遇措置がハシナ氏の与党アワミ連盟の支持者を利すると非難している。
アジアの最貧国の一つだったバングラは近年著しい経済成長を続けているが、若年層を中心に雇用不足への不満が高まっている。【ニューデリー川上珠実】
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