好戦的な姿勢を強める金正恩(写真は2010年、朝鮮労働党創建65周年を祝う式典のテレビ中継から)REUTERS/KRT via Reuters TV
<休戦協定を破棄して再武装化を進める金正恩は、兵士を奴隷のように使い、非武装地帯全体を要塞化しようとしている>
金正恩総書記の命令で南北軍事境界線沿いに地雷を埋設している北朝鮮では、作業中の爆発事故により複数の死傷者が出ているが、韓国によれば、作業は続行される模様だという。
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韓国軍合同参謀本部が7月17日に明らかにしたところによれば、北朝鮮と韓国の事実上の国境から南北それぞれ2キロにわたって設けられている非武装地帯(DMZ)の北側ではこれまでに少なくとも10件の爆発事故が起きて、「複数の死傷者」が出ている。
金は2024年1月の最高人民会議で韓国を「第一の敵国」と宣言。地雷の埋設は、非武装地帯の北側全体を要塞化する金の計画の一環だ。
韓国の当局者によれば、北朝鮮の兵士たちは休日や交代もなく炎天下で1日12~13時間も作業を続けており、熱中症で運ばれる者も出ているという。韓国の聨合通信は、埋設作業を行う兵士の中には女性もおり、労働環境が過酷なことから、韓国側は脱北者の流入に備えていると伝えた。
16日には金正恩の妹で大きな権力を持つ金正与が、韓国の活動家が再び反北朝鮮のビラをくくり付けた風船を飛ばしてきたと発表、活動家を阻止できない韓国は「すさまじい代償を覚悟すべきだ」と述べた。韓国当局はこれまで、この問題への介入には消極的だ。
本誌はこの件について北京の北朝鮮大使館にコメントを求めたが、これまでに返答はない。
軍事境界線を越える兵士も
韓国国防省によれば、韓国の申源湜国防相は16日に軍の高官らと行った会談の中で、韓国は複雑な危機に直面していると発言。国防省も別のリリースで、激しい雨が非武装地帯で不測の事態を引き起こしかねないと述べた。
今週は北朝鮮の一部地域で激しい雨が降っており、その影響で土砂と一緒に地雷の一部が境界線上を流れる臨津江(イムジンガン)を通じて韓国側に達する可能性があると、警戒を強めている。
韓国軍合同参謀本部は、「北朝鮮は必要な安全策を取らずに、無造作に地雷を設置する傾向がある」と聯合通信に述べた。「意図的なものであれ、大雨の影響によるものであれ、地雷が韓国側に流れてくる可能性は高くなっている」
韓国国防省は国民に向けて、地雷には「木の葉」に見せかけた小型のものもあり、不審物を見つけた場合には決して触らないようにと呼びかけている。
非武装地帯の北側では2024年の春以降、北朝鮮の兵士たちが大量に動員され、地雷の設置や対戦車用の防御壁の建設作業を行っており、この障壁は1カ月で全長およそ2.4キロに達している。
非武装地帯で作業中の北朝鮮の兵士たちが、軍事境界線付近の防衛強化を行っているうちに誤って境界線を越えて韓国側に入り、韓国軍の兵士たちが警告射撃を行う事態も何度か発生している。
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