ゾーレ・エラヒアン(写真)ら4人の女性が大統領選に立候補していた(6月の記者会見、テヘラン) MORTEZA NIKOUBAZLーNURPHOTO/GETTY IMAGES
<イランの女性は識字率が低く、社会的な地位も低い...そんなイメージを覆す、ビジネスにも政治にも挑戦する「強い女性たち」>
イブラヒム・ライシ大統領の事故死に伴い6月28日に投票が行われたイラン大統領選では、当初80人が立候補を届け出たものの、認められたのはわずか6人。改革派や穏健派の有力候補が次々と失格した。だがその中に、4人の女性候補がいたことはあまり知られていない。
イランの女性は識字率が低く、社会的に低い地位にとどまっている──世界ではそんなイメージを持たれているかもしれないが、実態は程遠い。一部の貧しい地区を除いて女性の識字率は高く、社会進出も進んでいる。
2022年の大規模なデモが記憶に新しい。髪を覆うヒジャブの着用強制が発端となり、女性たちは自由を求めて立ち上がった。
逆境に負けず、圧政にも立ち向かうイラン人女性の強さは、教育によるところが大きい。彼女たちは強い自信と野心を持ち、目的意識も十分だ。そして、無関心な人々も巻き込んで行動へと駆り立てる力を備えている。
その先頭を走る1人が、起業家で宇宙飛行士のアニューシャ・アンサリだ。米テクノロジー企業プロデア・システムズの創業者・CEOで莫大な富を保有する資産家であり、実力のある若き女性実業家として知られる。民間女性で世界初の宇宙旅行にも成功している。
工学者で起業家のセイデ・ファテメ・モギミもジャンルを超えた強靭な活躍を見せる。
エンジニアでありながら、建設党に所属する政治活動家。イラン最大の貨物運送会社の1つであるサディド・バー・インターナショナル・シッピング・アンド・トランスポーテーションの創業者・CEOでもあり、この分野のビジネスに参入した最初のイラン人女性だ。
彼女たちのような女性は目的意識が高く、それを達成するための努力を怠らない。その態度と信念はほかの女性たちのモデルとなり、うねりを呼んで、イラン女性が困難を乗り越える力となってきた。
今回の大統領選に臆せず乗り込んだ女性候補は、いずれも、次のステージには進めなかった。だが、今後も女性候補は手を挙げ続けるだろう。
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