銃撃で耳を負傷した米国のトランプ前大統領=中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーで2024年7月16日、ロイター

 米国のトランプ前大統領はブルームバーグ通信が16日に報じたインタビューで、台湾の防衛に関して「我々は保険会社のようなものだ。台湾は我々に防衛費を支払うべきだ」と主張した。「台湾は米国から半導体ビジネスを奪った。彼らは莫大(ばくだい)な富を得ている」と批判もしており、11月の大統領選で返り咲いた場合、台湾に何らかの「取引(ディール)」を迫る可能性もありそうだ。

 インタビューは銃撃事件前の6月下旬に実施された。トランプ前政権は中国に強硬な姿勢を示し、台湾を重視してきた。ただトランプ氏は今回のインタビューで、米国と台湾の地理的な距離を理由に挙げ、防衛の難しさを強調。「私が大統領から退任した日に中国は台湾に爆撃機を飛ばした。それ以来、中国はとても攻撃的だ」と説明した。

 トランプ氏は昨年の米メディアとのインタビューでも、台湾が中国から攻撃された際に防衛するかどうか明言を避け、「台湾は我々から半導体ビジネスを奪った」などと同様の主張を展開している。

 歴代の米政権は台湾に軍事支援を行う一方、中国が台湾を攻撃した場合の対応について明言しない「あいまい戦略」を取ってきた。ただ、バイデン大統領は台湾を防衛すると繰り返し表明している。【ワシントン松井聡】

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