沖縄本島と宮古島の間を抜けた中国のH-6爆撃機(2013年10月27日、航空自衛隊撮影) REUTERS/Joint Staff Office of the Defense Ministry of Japan
<日本はロシア、中国、北朝鮮からの脅威に対抗する上でアメリカの重要な軍事パートナーだ>
日本の航空自衛隊による2024年度第1四半期の緊急発進(スクランブル)が、前年同期よりも減少したことが明らかになった。そのほぼ全てが、ロシア機と中国機への対応だった。
防衛省の統合幕僚監部は7月11日に四半期報告書を発表し、2024年4月1日〜6月30日までの航空自衛隊の緊急発進の実施状況を明らかにした。それによれば対象期間の緊急発進は159回で、前年同時期の238回と比べて減少した。
同報告書によれば、緊急発進回数が高い水準で推移し始めた2013年度以降の四半期実績は約100~350回で、今回の159回は平均的な水準にある。
日本の航空自衛隊はF35Aステルス戦闘機をはじめ、世界トップクラスの近代的な航空機の数々を保有しており、ロシア、中国と北朝鮮からの脅威に対抗する上でのアメリカの主要な軍事パートナーだ。
航空自衛隊の戦闘機は、日本の領空を侵犯するおそれのある、あるいは領空を侵犯した外国の航空機に対して、要撃機を緊急発進させて退去を警告するなどの対応を取っており、そのほとんどが日本海および中国との領有権争いがある東シナ海の上空で発生している。
「その他」の2回の相手は不明
第1四半期の緊急発進のうち、中国機に対する緊急発進回数は全体の約66%にあたる105回、ロシア機に対する緊急発進回数が約33%にあたる52回だった。残りの2回については「その他」として詳細は明らかにされていない。本誌はこの件について中国とロシアの国防省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。
報告書によれば、緊急発進のうち82回は琉球諸島に配備されている南西航空方面隊が実施した。東シナ海と接する琉球諸島には現在、日本に配備されている米軍部隊の半分が駐留している。
琉球諸島の北には九州があり、航空自衛隊の各種作戦で「西部方面」と呼ばれるこの地域では28回の緊急発進が行われ、北海道周辺の「北部方面」では44回の緊急発進が行われた。日本最大の島である本州の「中部方面」で行われた緊急発進は5回のみだった。
統合幕僚監部の報告書には、緊急発進の対象となった中国機およびロシア機の飛行パターンを示す地図が添付されており、その大半は東シナ海上空と日本海上空だった。
この地図を見ると、日本の防衛当局は台湾(中国は中国の一部と見なしている)の東側を飛行する中国機の存在を検知している。日本政府は、台湾海峡での軍事的緊張がエスカレートする可能性を警戒している。
また数多く中国機の飛行ルートが琉球諸島の東側、太平洋の上空に延びていることもわかる。中国軍は、戦略的要所である日本、台湾やフィリピンを結ぶ第一列島線を越えて活動を続けている。
統合幕僚監部は報告書の中で、ロシア機と中国機に対する緊急発進の事例をいくつか挙げている。この一覧の中には、ロシアのTU95戦略爆撃機や中国の無人機TB-001、WL-10やWZ-7に対する緊急発進の事例が記されている。
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