韓国では、最低賃金が“大台”といえる時給1万ウォンを超えることになりましたが、急激な賃上げには“副作用”も伴うようです。

ソウルのカフェ。ウリである厳選した豆で淹れたコーヒーを出すのはロボットです。ここは接客スタッフがいないため、決済も客が自ら行います。

無人店舗の開発業者
「人件費がかからないため、他のところよりコーヒーを安く販売できます。無人店舗の問い合わせがかなり増えています」

人件費が高騰する韓国では、最近こうした無人店舗が急増。さらに…

「(最低賃金が)初めて1万ウォン時代をひらくことになりました」

先週、来年の最低賃金を時給1万30ウォン=日本円でおよそ1150円とすることが決まりました。最低賃金が1万ウォンを超えるのは初めてで、日本の平均を100円以上、上回っています。

急速に賃金を引き上げてきた韓国ですが、その副作用ともいえる現象も起きています。

記者
「最低賃金の引き上げに、コンビニなどを運営する自営業者からは悲痛な声も聞かれました」

高い人件費に苦しむコンビニ。アルバイトを雇うのを諦め、店番は母と娘の二人で回しているため、夜間は無人営業にしていますが…

コンビニ店主
「無人だと決済せずに商品を持っていく人もいます。あそこに貼ってあるレシートは全部そう。でもしょうがないです。むしろ(アルバイトを雇う)人件費よりは安いから」

無理な賃上げは企業に人員削減を迫り、雇用環境を悪化させることが懸念されています。

自営業者の団体
「新しく人を雇うのは難しく、雇用の維持まで心配しなければならない構造になった」

かつて、深夜まで営業する店が多く、不夜城と呼ばれたソウルも、今は人件費を抑えるため、午後10時で閉める店が多く見られます。

専門家は…

インハ大学消費者学科 イ・ウンヒ教授
「最近、景気が良くないため、最低賃金が引き上げられれば、企業の経済活力を阻害しかねない」

不満は賃金をもらう側からも上がっています。

市民
「少なくとも1時間働いて、クッパ1杯くらいは食べられる程度にするべき…」

大台は突破したものの、賃上げを続けていくことの難しさが浮き彫りになっています。

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