倒れ込んだトランプ前大統領に覆いかぶさるシークレットエージェント=米東部ペンシルベニア州で2024年7月13日、AP

 米東部ペンシルベニア州バトラーで13日開かれた共和党のドナルド・トランプ前大統領の選挙集会で、トランプ氏が演説中に銃撃された。日本でも安倍晋三元首相が2年前に銃撃されて死亡するなど、政治家への暴力は世界で後を絶たない。

 中欧のスロバキアでは5月半ば、フィツォ首相が中部ハンドロバで開かれた集会後に、文化施設の外で支援者と話していたところを至近距離から銃撃された。一時は深刻な容体とされたが、6月末に自宅療養のために退院した。地元メディアによると、政治活動家の単独犯だったとされる。

 安倍元首相への狙撃は2022年7月、奈良市で選挙応援の演説中に起きた。現行犯逮捕された山上徹也被告は、殺人など五つの罪で起訴された。23年4月にも、和歌山市の漁港で選挙応援中の岸田文雄首相の近くに爆発物が投げ込まれるなど、現職や首相経験者が相次いで狙われている。

 これらは特定の組織や団体に属さず過激化するローンオフェンダー(単独の攻撃者)による事件とみられている。事前把握は難しく、警察白書によると、各国の治安当局に危険性の認識が広がっているという。

 一方、ドイツでは今年5月、東部ドレスデンで欧州議会議員が若者のグループに襲われる事件があった。一部は極右の過激思想に傾倒していたと報じられている。同じ月にはベルリン前市長が図書館で暴行される事件も起きた。フランスではマクロン大統領が21年6月、地方視察中に地元市民に平手打ちされた。

 カリブ海の島国ハイチでは21年7月、モイーズ大統領が大統領邸に押し入った武装集団に襲われ死亡した。ハイチではモイーズ氏の殺害後、ギャングの暴力による支配が強まり、政情不安が続いている。【ニューヨーク八田浩輔】

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