岸田文雄首相は12日(日本時間13日)、訪問先の独ベルリンでショルツ首相と夕食も含めて約1時間55分間、会談した。中国の経済的威圧を念頭に、両国間で経済安全保障に関する枠組みを新設することで合意したほか、両政府の主要閣僚が参加する「日独政府間協議」の2回目の会合を来年、ドイツで開催することも確認した。
日本の首相が国際会議などを除いてドイツを個別訪問したのは2017年以来7年ぶり。
両首脳は会談後に共同記者会見に臨み、ショルツ首相は、岸田首相による北大西洋条約機構(NATO)首脳会議出席や、ショルツ首相がこれまで3度の訪日をしたことなどを挙げて「日独の関係は非常に緊密。私たちの関係はとても信頼に満ちたものだ」と述べた。岸田首相は「欧州大西洋とインド太平洋の安全保障が不可分であることが明らかになる中、日独の連携の重要性はますます高まっている」と応じた。
会談では、経済安全保障に関して、自由で公正な国際経済秩序を維持・拡大していくため「産業構造や技術力において共通点を持つ両国の連携が重要」として、両国間で経済安全保障に関する協議枠組を創設することで一致した。また、次世代通信規格「6G」の研究や、サイバー、人工知能(AI)に関する国際ルール形成でも協力を推進することを確認した。
安全保障分野では、今夏に予定されている独軍の航空機と艦船の訪日と海上自衛隊練習艦隊の訪独を前に、同日の日独物品役務相互提供協定(ACSA)発効を歓迎した。また、外務・防衛閣僚による「2+2」の次回会合の早期開催を確認した。
インド太平洋情勢については、露朝の軍事協力の深まりや、ウクライナへの侵略を続けるロシアに対する中国の動きなどについてなどについて率直な意見交換をした。【ベルリン中村紬葵】
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