6月4日、南北軍事合意の効力を停止し、南北間の軍事衝突の可能性に道を開いた韓国の尹錫悦大統領 dpa via Reuters Connect
<朝鮮半島の緊張が近年になく高まっているいま、ロシアと北朝鮮が軍事協力を進めることに韓国は黙っていない。対抗してウクライナに武器支援をするぞ、とロシアを脅す>
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、ロシアと北朝鮮の関係深化が、韓国だけでなく欧州にも脅威をもたらすと警告した。
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「ロシアと北朝鮮の軍事協力は、朝鮮半島および欧州の平和と安全に対する明確な脅威であり、重大な挑戦だ」。7月10日から11日にかけて北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席する予定の尹は、米国への出発に先立ち、ロイター通信にそう語った。
米国の他の同盟諸国との防衛関係の緊密化を求める尹は、韓国大統領として、日本やニュージーランドの首脳とともに、NATOの首脳会議に出席する。3年連続のオブザーバー参加だ。一方NATOは、中国と北朝鮮の脅威を視野に、アジア太平洋地域の非加盟パートナー国との関係を深めている。
韓国は、米国などとともに、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が6月に署名した「包括的戦略パートナーシップ条約」を非難している。どちらかの国が攻撃された場合に軍事支援を約束する条約だ。
尹はロイターに、韓国とロシアの今後の関係は、すべてロシアの出方にかかっていると語り、ロシアに対して、韓国と北朝鮮のどちらを選べばより自国の利益にかなうか判断するよう迫った。
北か韓国か選べ
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官はロシア国営メディアに対し、「我々はこのアプローチには断固反対だ」と述べた。さらに、ロシアは韓国と北朝鮮の両国と良好な関係を求めているが、北朝鮮はパートナーである一方、韓国は対ロシア制裁に加わっているとして、「我々に敵対的な立場をとる国々と、どうやって良好な関係を築くことができるだろうか」と語った。
北朝鮮と韓国の緊張は、ここ数十年で最も高まっている。両国は2018年に南北軍事合意を締結したが、北朝鮮は2023年11月、この合意にこれ以上縛られないと宣言。韓国も2024年6月に合意を全面停止し、南北の軍事境界線沿いや北西部の国境付近の島々で軍事訓練を再開した。
2027年までに世界第4位の武器輸出国になることを目指す韓国は、ロシアと北朝鮮の条約締結を受け、ウクライナへの武器支援を検討する意向を示した。プーチンはこれに対し、こうした動きは「大きな間違い」につながると警告している。
尹はロイターに対し、韓国がウクライナに武器を提供するかどうかは、「ロシアと北朝鮮の軍事協力のレベルと内容」次第だと述べた上で、韓国政府が注視する分野の例として、武器移転や軍事技術移転を挙げた。
北朝鮮は、ロシア軍の火砲弾薬や弾道ミサイルの在庫補充を支援している。韓国の申源(シン・ウォンシク)国防相は、これまでに少なくとも1万個の輸送コンテナがロシアに移送されたと述べている。約500万発の砲弾を収納できる数のコンテナだ。
韓国と、ほか3つのオブザーバー国が今週、NATOと協力強化で合意するとの報道について問われた中国外務省の林剣報道官は7月8日、NATOを「冷戦の遺物」と呼んだ。地域同盟としての権限を超えて拡大していると非難し、「欧州に続いてアジア太平洋地域を不安定化させようと」試みている、と述べた。
(翻訳:ガリレオ)
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